暗証番号は本人から聞きだせ?
警察官と言われても確認を |
その直後に男性の口座から140万円が引き出されてしまったのです。飲食店で椅子の背もたれに現金8万円とキャッシュカードの入った上着をかけていたところ、財布をスラれたのでした。昨年末平成17年12月に起きたこの事件は誰にでも起こりがちなケースです。預金口座の暗証番号は、金庫の鍵と同じようなものです。これを他人に知らせることは、金庫の鍵を、すなわち預金全額を差し出すことに等しいのです。
電話は男性がいた飲食店にかかってきたといいます。キャッシュカードにはフルネームが書かれていますから、その名前でお客様を呼び出せるわけです。携帯電話にかけるよりも、一見、信憑性がありそうですが、おそらく携帯電話の番号は分からなかったのでしょう。普通、自分の携帯電話の番号がわかるようなものは名刺に書いていない限り、そしてその名刺も一緒に奪われない限りは、分からないでしょう。
運転免許証が一緒に入っていたとして、まずは生年月日関係で暗証番号を入力してみて、ダメなら、暗証番号を本人から聞きだすのが一番手っ取り早いのです。そして、すぐにも答えてもらうためには、「警察官」や「銀行員」を名乗ることです。ここで大事なことは、「電話で」ということです。
銀行員が電話でたずねることはない!
「オレオレ詐欺」やその他の「なりすまし詐欺」でも、いつも犯行に及ぶ者たちは自分たちを「警察官」や「弁護士」などとかたります。今回の事件では、「銀行員」でした。財布が盗まれたという事態に動転している被害者に、「口座を止めるから」と言われたら、つい聞かれるままに暗証番号を答えてしまいがちです。それ以上の被害を受けたくない、という心理を逆手に利用した手口です。人は思いもよらない事態に遭遇したとき、どうしてもあわててしまいます。そしてたたみかけるように「暗証番号を」と言われるがままに、電話で答えてしまい、そのまま預金を奪われてしまいます。つまり、金庫の鍵を自分から手渡してしまうのです。
こうした状況に陥ったときこそ冷静に、ということは、日頃から意識していないとなかなか難しいでしょう。やはり、原則として、「警察官、弁護士、銀行員といえども、自分の金庫の鍵は誰にも渡さない」という点をしっかりと覚えておくことです。それ以前に、「電話で相手が名乗っているだけのことを信用してはいけない」という大原則を忘れてはいけません。また、銀行員が電話で暗証番号をたずねることはありません。
姿を見たわけでもなく、電話で相手が勝手に名乗っているだけのことを信用してしまう、つまり「だまされる」ことに対して、人はあまりにも弱いようです。普段から電話を使うことの多い、少ない、いずれの場合でも、「顔も見ていない相手を信用することは危険である」と考えておくべきでしょう。もちろん、相手が女性であっても、です。
見知らぬ相手からの電話は信用するな/ブランコスリを警戒せよ p.2