防犯/子どもを犯罪から守る

子どもに伝える「車で連れ去り」注意のしかた

子どもの連れ去りに使われることの多い自動車。「車に注意して」と口で言うことはたやすいことですが、ではどのように気をつけるのか? 子どもにしっかりと伝えられる親でありたいものです。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

車に注意すること

車だとあっという間に遠くに…
車だとあっという間に遠くに…
子どもが外を歩くとき、「車に気をつけるのよ」と注意を促していることでしょう。連れ去りの被害を警戒して集団登下校していると、今度は車が突っ込んできたりして、複数の児童が一度に事故に遭うなど、まったくどうすれば子どもの安全を守れるのか困ってしまうような昨今です。

交通事故に気をつけるのは、学校での「交通安全教室」などで学んでいるはずですが、向こうから暴走してくる車に対してはなすすべもないのかと歯がゆく思うこともあります。しかし、「連れ去り」目的で近づいてくる車に対して警戒することは交通事故を警戒するのと同じように、あるいはもっとそれ以上に重要な課題だといえるでしょう。

車は「動く密室」です。車に連れ込まれてしまえば、大声で叫んでも外に聞こえるわけもないのです。もとより、人通りのない、つまり人の目の届かない場所を選ばれるのですから、とにかく絶対に車に連れ込まれないようにすることが大前提です。車に乗せられてしまえば、わずかな時間でかなりの距離を移動してしまいます。

車で移動するということ

仮に時速40キロメートルで走行したとして、単純計算で30分で20キロ、10分で3.3キロ、1分で330メートル移動してしまうのです。子どもの歩く速度は、1分間に約60メートルといわれています。330メートルは子どもの足で5分以上かかります。このことから、帰宅予定時間より遅れたら大変なことになる、ということを親も子もしっかり理解しておく必要があります。

学校や友達の家からの距離と時間をまず把握しておきます。そして、少しでも遅れたら危険な状況が考えられることを理解します。1分遅れたら子どもの足で5分以上の距離を移動させられてしまうかもしれないということです。10分遅れたら3キロ以上移動してしまうのです。3キロといえば、子どもの行動範囲を超えてしまうでしょう。

つまり、子どもの安全は1分、1秒たりとも油断してはいけないのです。帰宅する時間に遅れるということは、危険な事態が発生している可能性を疑うべきということになります。子どもは時間を守ることの意味をしっかり理解しなくてはなりません。毎日、学校からの下校時間を確認しあって、通常なら何時に帰宅するかをよく分かっておきましょう。

できれば、地図を見ながら、1キロはこの範囲、3キロならこの範囲、といったように具体的に場所を示して、車で連れ去られたらこれだけ離れてしまうんだよ、ということを子どもに伝えてあげましょう。そして、「何時までに帰る」という約束をいつでも守ることを取り決めておくことです。

※さらに、大人も子どももぜひ知っておきたい大切なポイント、防犯ガイド佐伯の提案を次ページでご覧下さい。

p.2→佐伯の提案/関連ガイド記事
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