防犯/防犯関連情報

昏睡強盗と薬物混入ドリンク(2ページ目)

昏睡(こんすい)強盗は刑法の条項にもあるほどの犯罪行為。被害に遭う理由は? なぜ、眠らせるのか? 彼らの目的は?

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

それは睡眠薬? それとも
それは睡眠薬? それとも
香川の事件では、テレホンクラブで知り合った男性が被害を受けていますが、十代の少女と会うということにどのような期待を抱いていたのでしょうか。レストランで飲み物を飲むときに、どのような手口をしたのかは不明ですが、何かに気を取られていて、飲み物に薬物を混入されるスキがあったのか、もしくは言葉巧みに席をはずす瞬間をもたされたのか、いずれにしても、疑いもなく飲み物を飲んでしまったのでしょう。

伝言ダイヤルの事件では、車の中である程度、会話も進んだ上で飲み物をすすめられ、断りきれなかったのでしょう。

状況判断そして目的を知る!

前者は相手も六十代の女性ということで油断してしまったのでしょう。後者は、見知らぬ少女と会うという点に、「児童買春」のもくろみがあったのではないでしょうか、それだけでもかなり危険な状況です。つまり弱味がある状況です。

相手は見も知らぬ人。自分はたった1人。相手には「お金を奪おう」という下心があったわけです。

しかし、普通に考えれば、見知らぬ人が突然、飲み物を飲むように誘う、というのはおかしいでしょう。居酒屋で意気投合して、おごりおごられ、といった関係(これだってわかりません)もないことはないでしょうが、見知らぬ人、知り合ったばかりで相手のことをよく知りもしないまま、一対一か、こちらが一人で相手が複数の場合は、かなり危険な状況といえるでしょう。

相手には何か“目的”が、自分には相手が欲しがる“何か”があるということを考えたら? 男性なら“現金”、女性なら“現金”のほかに“体”を狙われるのです。

これは、つまり、見知らぬ人と飲み物を飲む状況、というのは、お金を奪われるか、体を狙われるかというきわめて危険な状況だということなのです。

無理矢理に人に飲み物を飲ませるのは難しいことです。やはり、“言葉巧み”にといった条件があるはずですが、となると、自分が1人でいる場合、自分に飲み物をすすめる人物が信頼のおける人かどうか、ということを考えなければなりません。

放火殺人事件

拙著『父が娘に読ませたい「安全作法」の心得』でも紹介しているケースですが、1999年9月東京で、鍼灸院でマッサージの治療中にここの院長から「あなたは胃が悪いから、これを飲みなさい」と言って、睡眠作用のある薬の入った飲み物を飲まされ、乱暴されたあげく放火され殺害されたという凶悪な事件がありました。

治療院でそこの院長から飲み物を勧められたので、断り切れなかったのでしょう。治療のため、とはいえ、夜遅い時間に、二人だけしかいない場所でした。二人だけの場所で、相手は男、得体の知れない飲み物、となると、これは“下心”がありありとわかる状況です。

マッサージとなると、全身をゆだねるという状態ですから、かなり無防備です。もちろん、最近はあちこちに手軽にできるマッサージ店も増えており、いずれも清潔、安心というのは当たり前のことですが、他に人がいない場合は、注意が必要だという教訓を与えた事件だったといえるでしょう。

先の、大学生らによる集団婦女暴行事件も強いお酒を飲ませて、意識がもうろうとなった状態の女性を襲ったということで、“準婦女暴行”の罪で起訴されています。


→どこででも発生/準強姦の“準”の部分/被害に遭わないために~
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