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昏睡強盗と薬物混入ドリンク

昏睡(こんすい)強盗は刑法の条項にもあるほどの犯罪行為。被害に遭う理由は? なぜ、眠らせるのか? 彼らの目的は?

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

2つの昏睡(こんすい)強盗事件

その飲み物は安全?
その飲み物は安全?
大阪市内で64歳無職の女が76歳無職女性に、バス停で飲み物を飲まないかと話しかけ、近くのホテルのロビーで睡眠導入剤入りの飲み物を飲ませて眠らせた上、現金約3万5千円などが入ったバッグを奪った疑いで7月30日に逮捕されました。

昨年4月以降、市内で同様の高齢女性を狙った昏睡強盗が7件発生しており、「生活費に困って5~6件やった」というこの女の犯行とみて、警察署では調べを進めています。

「意識を失わせてレイプする手口を週刊誌で知って、参考にした」と供述しているということです。

また、香川県では、無職の33歳母親(別の昏睡強盗で起訴)と長男で無職の16歳(恐喝未遂罪で審判中)を再逮捕、息子の交際相手の15歳無職少女が昏睡強盗の疑いで7月30日に逮捕されました。

3人はテレホンクラブで知り合った会社員男性29歳を、ファミリーレストランに呼び出して、催眠作用がある薬物を混入したジュースを飲ませて眠らせ、現金約6千円を奪ったとして3人とも容疑を認めています。

共通している点

この二つの事件には、「眠くなる薬物の入った飲み物を飲ませて、現金等を奪う」という点が共通しています。文字通りの“昏睡強盗”です。相手を薬物で眠らせる…すなわち、相手を無能力状態にして、現金を奪うなどの悪事を働くことで、“窃盗”よりも悪質です。そして、これは相手が自分より体力的物理的に強い場合でも、犯行を容易にできるということなのです。

■刑法 第36章 窃盗及び強盗の罪
235条 (窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役に処する。
236条 (強盗)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(昏睡強盗)
 人を昏睡させてその財物を盗取した者は、強盗として論ずる。
243条 (未遂罪)
第235条から第236条まで及び第238条から第241条までの罪の未遂は、罰する。

このように、「刑法」でも「昏睡強盗」の条項があるということは、よくある手口であるともいえるのでしょう。

1999年1月に“伝言ダイヤル”で知り合った女性に薬物入りの飲み物を飲ませ、現金を奪い、二人の女性が昏睡状態で放置され凍死するという事件もありました。犯人の男は「肌がきれいになる、胃にもいい」などといって飲み物を飲ませたというものでした。

なぜ、“それ”を飲んだか?

なぜ、被害者は薬の入った飲み物を飲んでしまったのでしょうか? まずは、状況から考えてみましょう。大阪の事件は、バス停でバスを待っている高齢の女性に話しかけています。

高齢者は話し好きな人が多く、また仕事などで時間に追われているということもないので、「お茶でも」と誘われれば「袖振り合うも他生の縁」(そでふりあうもたしょうのえん「振り合う」は「触り合う」とも〕道で見知らぬ人と袖が触れ合うのも深い宿縁に基づくものだ)などと言って、ご相伴しましょうということだったのではないでしょうか。

そうして、薬物入りの飲み物を飲まされて、眠らされて、現金の入ったバッグを奪われた…。これは、人の善意を踏みにじる実に悪質な行為です。

さらに、香川の事件では、


→状況判断そして目的を知る!/放火殺人事件
→→どこででも発生/準強姦の“準”の部分/被害に遭わないために~
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