嵐のような時間が去って、ぐったりと放心したM美は身体を動かすことも出来なかった。
「M美ちゃん、これで満足だろ?」
「やりたかったんだろ」
「T也はお前みたいな女は本当は相手にしないのさ。あいつはオトリなんだ」
「すぐ男にくっついてきてヤラセルような女は嫌いなんだと」

「オレ達がかわいがってあげたんだから、ありがたいと思えよ」
「これは和姦というやつさ。訴えることはできないんだ。お前はその気でそういうカッコをしてきたんだろ。納得済みってこと」

口々に言って、笑いながら去って行く様子がわかったが、立ち上がって追いかけることも出来なかった。

どれくらいの時間が経ったか分からなかったが、ようやくの思いで立ち上がり、よろよろと歩いた。相変わらずの暗闇だったが、恐くはなかった。自分の身に起こったことが信じられないまま、夢遊病のように宿へ帰り着いた。友人2人はすでに眠っていた。風呂場へ行き、身体中の砂を洗い流した。いくつものすり傷がしみた。涙が止まらず、何度も顔を洗った。やっと床につくと、声を殺してまた泣いた。

翌日、昼前の帰りの船の時間になっても、T也が姿を見せることはなかった。遠ざかる島影に、M美の心は感情を失ったように何も感じなかった。(私が悪かったの?)自問したが答えはでなかった…。

法律ワンポイントチェック

ここで、男達が「和姦」と言っているが、それはあくまでも一対一の場合である。刑法第180条では、強姦については告訴が必要(親告罪)であるとしている。

しかし、「2人以上の者が現場において共同して犯した罪については、適用しない」つまり、二人以上に暴行された場合は親告を必要としないのだ。2年以上の有期刑に処される強姦罪なのである。


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