「そんなことは言わねーよ。だが、このカギを拾ったお礼というなら、もらってもいいぜ」
男たちはカギをちゃらちゃらと振ってにやりとした。とりあえず金を出してこの場から逃げよう。
「わかった」
F彦は財布から一万円札を出した。
「おいおい、このカギはそんなに安いのかね」
窓の外から見下ろされて財布の中は丸見えだった。

デートに備えて用意していた10万円を残らず渡したところで、ようやくカギを返された。
「F彦さんよ、S香はカワイイだろう?ドライブできただけでもありがたいと思いなよ。あんたには、1時間のデートで10万円でも高くはないぜ。ヘッヘッヘ」
と笑いながら二人の男は立ち去った。S香はすでに男の車に乗り込んでたのか、姿は見えなかった。ようやくエンジンをかけて、一目散で自宅に帰った。

数日後、会社にいたF彦に電話がかかってきた。
「へえ、本当に△△の社員なんだ」
へらへらと笑うのはS香と一緒にいた男の声だった。
「車も自分の持ち物だし、お金持ちなんだね~」
「えっ」
「ナンバープレートを見りゃな、簡単に調べられるのよ。ところで、S香とまたデートしてやってくれよ」
「断る」


電話を切ったが、自宅も突き止められているらしい。きっとこのままでは済まない。どこまでも金を要求するつもりに違いない。あいつらを警察に訴えよう。F彦はハッとした。住所も本名も知らない。頼りはS香のメールアドレスだったが、あのあと、頭にきたのでアドレスもメールも削除してしまっていたのだった。



※「美人局(つつもたせ)」とは、「情婦と謀って男性を誘惑させ、それを種に行う恐喝」のこと。

法律ワンポイントチェック

恐喝罪は10年以下の懲役刑。
刑法第249条「人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」

これら二つのケースには、あまりにも無防備という共通点があります。どこをどう備えるべきか、ヒントもたくさんあります。ご自分だったら、どの点に注意すべきかおわかりになりますよね?







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