「近居」とは?
住居は異なるものの、日常的な往来ができる範囲に居住することを指すものとし、具体的には、「同居」ではなく、「車・電車で1時間以内」の範囲まで。……『NPO活動を含む「多業」(マルチワーク)と「近居」の実態等に関する調査』より(平成18年6月14日 国土計画局総合計画課 http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/02/020614_2_.html)
何かと手が足りない「子育て世代」は特に「近居」に惹かれる……。「互いのペースを護りながら気ままに暮らせるから」。でも、もしかしたらそれはとんでもない間違いなのかも?! |
ここ数年、親子の「近居」という住まい方が見直され、注目されています。前述の調査結果ページによれば、『2006年時点で、既婚者とその親との「近居」は約52%』という数字もあがっていますし、不動産流通経営協会が平成18年3月に行ったインターネット調査(「団塊ジュニア世代と団塊世代の理想の住まい像の調査」http://www.kindaika.jp/topics/pdf/wn0604_21.pdf)に基づく、団塊世代・団塊ジュニア世代における「近居」志向も、『団塊ジュニア世代では「親元近く」に住みたいと答えたのが52%と半数を超え、団塊世代も「子供の近く」との答えが41%』と、同様の高い数値を示しています。
「“同居”はイヤ、でも“近居”ならいい」。こんな意見には、特別なロジックなど用意しなくても、多くの人は素直に頷けてしまうものではないでしょうか。一日中、24時間傍に生活している(されている)気詰まり感なく、しかし困ったとき(子どもを面倒見て欲しいとき、身体の調子が悪いとき)には気楽に親子が行き来できる生活。
「近居」こそ「理想的」なライフスタイルだとする言質さえ昨今、多く見受けられます。しかし、何事もそうですが、モノゴトには良い面と悪い面の二面がつきもの。イイコト尽くめに見える「近居」にも、現実には前もって予測不可能であるような落とし穴があるのです。
今回お話しする「ホニクラピヨコさん」のケースはプライバシーの関係で家族設定等は変更していますが、藤原の取材に基づく実話をベースにしたものです。
「ホニクラさん」の恐怖譚はメチャクチャ、レアケース? それとも……?!
これからの時代の家族のかたちを考える上で避けて通れない「親世代」「子世代」の暮らし方・住まい方のすり合わせ。皆さんも是非、この機会に考えを凝らしてみて下さい。
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シーン1.希望に満ちたお引っ越し
シーン2.日曜朝の来訪者
シーン3.「引き出しの中身まで……」