掃除/掃除関連情報

21世紀の子ども部屋を考える(2ページ目)

30歳…団塊ジュニア世代のための「家を買う方法」シリーズ第五弾は、私たちの子どもたちに与える?「子ども部屋」を取り上げます。あなたは、どうしますか?

藤原 千秋

執筆者:藤原 千秋

家事・掃除・子育てガイド

きれいごとで「子ども部屋」を考えない

ネット
便利なインターネット。その暗黒面が子どもを狙っている…

「子ども部屋に、女子高生を拉致して住まわせ暴行、殺害」「子ども部屋に、子どもたちを拉致監禁して殺傷」「子ども部屋に、殺傷した動物を保管、そののち遺棄」「子ども部屋に、小学生女子を拉致して監禁、10年近く隠し通す」「子ども部屋に死体を持ち帰り隠す」etc...

ぱっと思いつく限りでも、ここ十数年の間に起こった「子ども部屋」絡みの犯罪はこれだけ挙げられます。皆さんの記憶にも強烈に残っていることでしょう。幸い、私たちはそんな犯罪を犯さず、また幸運にも、犯罪に巻き込まれず大人になれた。でも、この先のことは、まだ分かりません。

「子ども部屋」というものが「親の目を盗める場所」「親の目に触れない場所」であり続ける限り、いや、「親が見たがらない場所」であり続ける限り、可能性としてどの家庭の「子ども部屋」が陰惨な犯罪の舞台にならないとも限りません。

携帯
携帯電話が「子ども部屋」を個別に外界へつなげてしまう。

現在は、私たちが育ってきた過程ではなかった二つのツール、
『携帯電話』と『インターネット』が「親の目を盗んでする行為」をエスカレートさせています。出会い系がらみの犯罪、売春がらみ、恐喝、自殺幇助…これも数え上げてもキリがないほどです。

勿論、「子ども部屋」が私たちの育ちに大きく、
良い影響を与えた側面を忘れることは出来ません。思春期に、個室で自分の心とじっくり向き合い、親と自分を切り離して考えることを覚え、恋に悩み、進路に悩み、でも苦しみから這い上がるすべを手に入れて「自立」への道筋を勝ち取ることができた。それは確かです。それに静かな環境で集中してした勉強の成果は、目を見張るものがあったかもしれません。




いま、私たちは冷静に、「子ども部屋」という部屋の持つ
明暗を見据え、子どもたちに与えて(或いは、子どもたちが独立して勝ち取るまで与えないで)いくか・いかないかを判断しなければならないときに来ています。

親の世代や昭和40年代以前に子ども時代を送った世代が、自分たちの「憧れ」を具現化して子どもにプレゼントしたようには、無邪気に「子ども部屋」を考えることは出来ないのです。




21世紀の「子ども部屋」のあり方。それは今、多くのプロや親たちによって模索され、実験され、実践され、あるべきモデルがあちこちで示されようとしています。その正誤は、子どもたちの成長を待たねば判断できない点は、確かにもどかしい。

でも、どうか「小学校に上がったから」「10歳になったから」「受験だから」「家を買ったから」と安易に「子ども部屋」を与え、子どもをそこに閉じ込めないようにしてください。

「子ども部屋」──『個室』──を『孤室』や『独房』にしないために。



【関連記事・コラム】

"壁なし住居"で良い子が育つ!?(家を建てる)
良い親子関係を築く間取りとは?(家を建てる)

子供室はどうすれば吉?(家相・風水)



【参考文献】

「少女民俗学~世紀末の神話をつむぐ巫女の末裔」大塚英志/光文社文庫
「個室―引きこもりの時代」島田 裕巳/日本評論社
「子ども部屋―心なごむ場所の誕生と風景」インゲボルク ヴェーバー=ケラーマン (著), Ingeborg Weber‐Kellerman (原著), 田尻 三千夫 (翻訳)/白水社
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で人気の掃除用品を見るAmazon で人気の掃除用品を見る
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます