時代の流れをすばやく察知。フリーペーパー化へ
「時代は変わりました」と、過去の縮刷版を見ながら回想 |
「やはり時代の流れですよね。バブル崩壊後、日系企業がどんどん撤退していって駐在員も少なくなりました。競合新聞がアメリカ本土から無料紙として参入してきたこともあって、購読制にはこだわらず、私たちも無料にして、よりたくさんの方々に読んでいただこうと方針を切り替えました。」
ダイエーやマルカイ、白木屋をはじめ、日本人が必ず定期的に訪れる場所70箇所に配本をし、これまでは知っていてもなかなか手に取ることがなかった人々にも読まれるようになりました。そのことによる広告効果の変化は絶大で、従来の広告主からも媒体力を再評価されるとともに、新たな広告需要を次々と開拓できるようにもなったのです。
「28年間ベストセラーとして購読されてきた『くらしの便利帳』も、2004年の9月に無料誌へと転換して、2年に一度の改訂を毎年に変更したんです。こちらもおかげさまで好評をいただきまして、広告主さんからもひじょうに喜ばれています。」
もともと有料版として売れていたものだけに、ブランドとしても浸透しており、信頼性も高いのでしょう。
「私も長年、このビジネスをやってきたので、やはりやり方も通り一遍になってしまう時があります。が、競合他社が参入してくることで、頑張ろうという気にもなりますし、新しいビジネスの仕方を教えていただける、ということもありますね。」
インターネットでの情報配信が楽しみ
2005年夏、永井さんは、念願だったイースト・ウエスト・ジャーナルのホームページを立ち上げ、毎号の主だった内容をそのまま掲載しています。日本においても、このサイトを通じて、ハワイの政治・経済の今がわかるというわけです。「有料紙だった時には考えられなかったのですが、今は無料紙ですから、インターネットに記事をそのまま載せることにも抵抗を感じなくなりました。日本とハワイを行き来していて毎号ご覧いただけない皆様や、たまにしか来ないけれどもハワイのことを知っていたいと願う皆さんに、ずっとイースト・ウエスト・ジャーナルに接していただけることの喜びは、計り知れないものがあります。」
日本の知人から、アップしたばかりの記事について連絡をもらい、インターネットの即時性も実感。今後、この媒体を利用して、また新しいことができないかどうか、模索中だとか。
実は御年67歳の永井さん。今でもすべての記事や企画を考えてレポーターに指示を出し、原稿もすべて目を通す、バリバリの現役です。
「どうしても人にまかせることが苦手なんですね(笑)。でも30周年はこうやって現役で迎えられましたが、35年周年はどうなるか…、ちょっと私自身も分からないですね。この歳になっても健康で働けることは、本当にありがたいことで、日本の友人らにもうらやましがられますけど、そろそろ次の世代へ、ということも考え始めてはいます。」
地元社会にどっしりと根を張って深い関係を築き上げ、ハワイの日系社会の移り変わりをリアルタイムで報道してきたイースト・ウエスト・ジャーナル。30年たった今でも唯一無二の存在感を放っています。
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