ハワイ王国の栄華と悲劇を偲ぶ、イオラニ宮殿

美しい外観からは想像もできないような悲しいストーリーをもつイオラニ宮殿。イオラニとはハワイ語で「天国の鷹」の意味

美しい外観からは想像もできないような悲しいストーリーをもつイオラニ宮殿。イオラニとはハワイ語で「天国の鷹」の意味

史跡・名跡が集まるダウンタウン。ハワイ王国を建国したカメハメハ大王像の正面に建つイオラニ宮殿は、アメリカに存在する唯一の宮殿です。1882年にハワイ王国7代目の王、カラカウアによって建設。1893年に白人が起こしたクーデターにより、8代目となる女王、リリウオカラニ(カラカウアの妹)の王位が剥奪されて王国が崩壊するまでの11年間公邸として使用されました。

<目次>  

宮殿内部に入ることができる見学ツアーに参加しよう!

シャンデリアにワインレッドの絨毯やカーテン、金の調度品で飾られた「王座の間」。ここでは舞踏会が行われていた(写真提供:ハワイ州観光局)

シャンデリアにワインレッドの絨毯やカーテン、金の調度品で飾られた「王座の間」。ここでは舞踏会が行われていた(写真提供:ハワイ州観光局)

現在、宮殿内部に入ることができるのは、ガイドと回るガイドツアー(英語/日本語)自分で回るオーディオツアー(日本語)への参加でのみ。うち、日本語ガイドツアーは、1日1回、定員20人の少人数制なので、滞在スケジュールが決まったらウェブサイトから即予約を。勲章や王冠、宝石などが展示されている地下ギャラリーは、いつでも自由に見学することができます。

なお、ガイドツアーとオーディオツアーは5歳未満も参加可能ですが、イオラニ宮殿が無料で貸し出すベビーカーに乗せて移動、または、持参の抱っこひもに入れて前方でだっこしなければなりません。
 

ガイドツアー(英語/日本語)

宮殿の1・2階をガイドと回った後、地下ギャラリーを見学します。ガイドツアーは60~90分間立ちっぱなしになるので、お子さん連れはご注意ください。要予約で、当日はスタートの15分前までにチケットオフィスでチェックインを。各回定員20人。

英語ガイドツアー:火・水・木・土曜9~10時、金曜9時~11時15分に15分間隔でスタート
日本語ガイドツアー:月・火・水・金曜11時30分スタート ※開催されない日もある
料金:大人27ドル、5~12歳6ドル
 

セルフガイドオーディオツアー

デジタルオーディオに収められた日本語解説を聞きながら、1・2階を見学(約60分)。その後、地下ギャラリーを見学します。各回定員20人。事前予約できますが、10分間隔で行われるため、現地で申し込みしてもOK。

スケジュール:月曜9~16時、火・水・木・土曜10時30分~16時、金曜12~16時に10分間隔でスタート
料金:大人20ドル、5~12歳6ドル、5歳未満無料
 

地下ギャラリー

厨房、食器室、執事やメイド、掃除係など宮殿で働く人々の部屋を再現した地下部分を時間制限なく見学できます。鳥の羽で作ったマント、勲章や王冠、宝石などハワイ王国ゆかりの品々や、ハワイ初となる水洗トイレも展示。予約不要。

スケジュール:開館 月~土曜9時30分~16時
料金:大人5ドル、5~12歳3ドル、5才未満無料
 

見学ツアーの予約方法

チケットオフィス「ヘル・モア」は、イオラニ・バラックスと呼ばれる兵舎だった

チケットオフィス「ヘル・モア」は、イオラニ・バラックスと呼ばれる兵舎だった

ガイドツアー、オーディオツアーの予約は、ウェブサイト、または、敷地内の旧宮殿兵舎「ハレ・コア」にあるチケットオフィス(月~土曜8時30分~16時)で。地下ギャラリーのチケットもこちらで購入します。季節により開館時間、ツアー開催日が変更になる場合があるので、事前にウェブサイトで確認することをおすすめします。ほかに、通常ツアーでは立ち入ることができないエリアを案内する1~4名限定の「ロイヤル・レガシー・ツアー」(550ドル)もあります。
 

見学ツアーは宮殿裏玄関からスタート!

宮殿内部へは裏の入口から。大きな荷物はチケット売り場近くのロッカーに預けます

宮殿内部へは裏の入口から。大きな荷物はチケット売り場近くのロッカーに預けます

ガイドツアー、オーディオツアーともに、スタートは宮殿裏玄関から。館内での諸注意を受けた後、床を傷つけないよう布製の靴カバーをつけて入ります。ちなみに、ガイドツアーのガイドはみなさんボランティア。特に解説のマニュアルはなく、自分の言葉で宮殿の歴史を伝えているそう。館内の写真撮影が可能ですが、フラッシュ撮影、三脚や望遠レンズを使用した撮影、動画撮影はできません。
 

舞踏会、晩餐会、音楽会…… 華やかな時代へタイムスリップ

晩餐会のための陶器や銀食器、グラスなどがセッティングされた「正餐室」(写真提供:ハワイ州観光局)

晩餐会のための陶器や銀食器、グラスなどがセッティングされた「正餐室」(写真提供:ハワイ州観光局)

宮殿の裏玄関をくぐると、そこは、1階中央の「グランドホール」。宮殿の3階部分を吹き抜けにして造られた明るい空間で、壁には、ハワイ王国の10人の王・女王の肖像画が掛けられています。ホール左手には、重厚な絨毯やカーテン、ゴールドの調度品で飾られた「王座の間」が。ここでは、メリー・モナーク(陽気な王)と呼ばれたカラカウア王が盛大な舞踏会やパーティを行い、その宴は朝まで続いたといいます。
 
カラカウア王とリリウオカラニ女王の肖像画が掛けられた「青の間」(写真提供:ハワイ州観光局)

カラカウア王とリリウオカラニ女王の肖像画が掛けられた「青の間」(写真提供:ハワイ州観光局)

ホール右手は、来客をもてなしたり、公式行事に使われた「正餐室」(食堂)。地下の厨房から料理を運ぶためのエレベーターも設置されています。正餐室隣は、小さな歓迎会や音楽会などで利用した「青の間」。どの広間にも豪華なシャンデリアが設置されているのは、電気が発明されて間もなく電気設備が導入されたから。各広間には、日本(当時は明治時代)をはじめ世界各国から贈られた調度品、美術品も飾られており、王室の華やかな暮らしぶりがうかがえます。

2階は、プライベートなフロア。山側にホノルル最古の電話がとりつけられたカラカウア王の執務室と寝室。海側には、楽器の演奏や作曲などを楽しんだ音楽室「黄金の間」。そして、ワイキキ側には王の妻、カピオラニ王妃の寝室があります。しかし、その一角には、ハワイ王国最後の女王・リリウオカラニが幽閉された寝室もあるのです。
 

ハワイ王国の最後を見届けたイオラニ宮殿

彼女が作った歌「アロハ・オエ」の楽譜、ハワイアン創世神話「クムリポ」の英訳、発布されなかった新憲法が左手に握られたリリウオカラニ像

彼女が作った歌「アロハ・オエ」の楽譜、ハワイアン創世神話「クムリポ」の英訳、発布されなかった新憲法が左手に握られたリリウオカラニ像

実は、カラカウア王の時代には閣僚のほとんどが白人で構成され、ハワイ王国も末期を迎えていました。1891年に王が病死し、その妹・リリウオカラニに王位が移ると、王権を回復するために新憲法の発布を計画。しかし、1893年1月にこれを阻止しようと白人が起こしたクーデターが王国崩壊の引き金となり、白人勢力は新政府を設立しました。
 
州政府庁向かいには、女王が余生を過した「ワシントン・プレイス」がある

州政府庁向かいには、女王が余生を過した「ワシントン・プレイス」がある

1895年、リリウオカラニ女王は8ヶ月もの間、2階の寝室に幽閉。そこは、ベッドと最低限の家具だけという殺風景な部屋でした。その後、王国の栄華を象徴する「王座の間」で裁判にかけられ、一般市民として余生を送ることに。カメハメハ大王がハワイ諸島を統一してから約100年間続いた王国最後の舞台となったのも、このイオラニ宮殿なのです。

王国崩壊後、宮殿内の家具や調度品、絨毯、カーテンまでが処分され、1969年までの約75年間、行政部の事務所として使用されました。その後、長い修復工事を経て、1978年に歴史博物館として一般公開。散り散りになった調度品等は少しずつ買い戻されていますが、現在戻ってきたのは4割ほどなのだそう。
 

見どころは宮殿内部だけじゃない

門扉にある王国紋章。カメハメハ三世の言葉「大地の生命は、正義によって守られる」が刻まれている

門扉にある王国紋章。カメハメハ三世の言葉「大地の生命は、正義によって守られる」が刻まれている

イオラニ宮殿の敷地には、カラカウア王の戴冠式が行われたコロネーションスタンド、王室の旧霊廟、近衛隊の本部だった石造りの兵舎、そして、宮殿山側と州政庁の間に建つリリウオカラニ女王の銅像など自由に見学できるポイントもあるので、こちらもお見逃しなく。毎週金曜12~13時には、1836年にカメハメハ三世によって創設されたハワイ王国専属の音楽バンド「ロイヤル・ハワイアン・バンド」のコンサートが宮殿前の芝生で行われます。

<DATA>
Iolani Palace(イオラニ宮殿)
住所:364 South King St.(Googleマップ
アクセス:ワイキキ・クヒオ通り山側バス停からE・13番で「S Hotel St + Alakea St」バス停下車後、徒歩3分。所要時間30~40分。ほかに、2・19・20番も利用可能。復路は宮殿前のサウスキング通りバス停から
TEL:808-522-0822
開館時間:月~土曜9:00~16:00
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