可笑しさが込み上げる空港パトロールシーン
バード・パトロールのシーンも、とてもユニークに描かれています。羽をいっぱいに広げ、気持ちよさそうに空を飛ぶ鳥たち。それを地上からのんびり眺めているのはいいものですが、旅客機にとっては鳥はあまり嬉しい存在ではありません。嬉しいどころか、むしろ迷惑になることがあります。
その理由は、空港での離陸や着陸の際に起こる“バードストライク(鳥の衝突)”です。ほんの小さな鳥であっても、高速で飛行する旅客機にぶつかるときの衝撃は相当なもの。機体の表面部分がへこんでしまったり、コクピットの窓にヒビが入ったり、エンジンに吸い込まれれば大惨事につながる危険もあります。海外では、バードストライクが原因で墜落したという報告事例も少なくありません。
旅客機にとってやっかいな存在である鳥たちを滑走路周辺から追い払う役割を担っているのが、空港に待機するバード・パトロールの人たち。散弾銃を持って、鳥の活動時間帯である日の出から日没にかけて毎日数回の空港内パトロールを行い、空砲で大きな音を鳴らして鳥を追い払います。そんな姿をベンガルさんが滑稽に演じて、場内の笑いを誘っていました。
ほかにも、空港で乗客への案内やクレーム対処に追われるグランドスタッフ、一度に何機もの航空機をコントロールする空港管制塔の管制官、縁の下で安全を支える整備士たちが次々と登場。普段なかなか見ることのできないエアライン業界の舞台裏を、作品を通じて知ることができます。
そして、物語のメイン舞台となっているホノルル行きのフライトでは、はたしてどんな事件が? ──あとは観てのお楽しみ。エアラインファンや旅行ファン、そして将来、航空関係の仕事に就きたいと思っている人たちにも、ぜひご覧になっていただきたい作品です。
【CAST/STAFF】
鈴木和博:田辺誠一
原田典嘉:時任三郎
斎藤悦子:綾瀬はるか
田中真里:吹石一恵
木村菜採:田畑智子
山崎麗子:寺島しのぶ
高橋昌治:岸部一徳
監督・脚本:矢口史靖