エアライン業界の舞台裏をリアルに描写
エアラインや飛行機を舞台にした映画というと、これまでは“パニックもの”やパイロット・CAを主人公にした“つくり話”的な作品が主流でした。しかし「ヒコーキ大好き人間」を自認する矢口史靖監督が『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』に続いて手がけた新作『ハッピーフライト』は、監督自ら国内外の航空関係者100人以上に取材して完成させた、とても真実味のある作品です。
私もひと足先に試写会で観ました。航空業界の隅々にまで目が行きわたり、描かれている内容がじつにリアル。コクピットで操縦桿を握る主人公（副操縦士）を演じる田辺誠一さんが、離陸後のアクシデントに対処できず旅客機を海に墜落させてしまう──冒頭から、そんなショッキングなシーンで始まります。
といっても、これは訓練中のフライトシミュレーターでの話。当サイトのガイド記事「これがフライトシミュレーターだ！」で取り上げたそのままの世界が、画面に描き出されています。
最近の進化したフライトシミュレーターでは、「油圧の故障」「エンジン片発停止」といったシナリオを入力することで、さまざまなトラブルを想定しての緊急時訓練が行えるようになりました。映画に描かれているような、アクシデントの内容（シナリオ）を事前にパイロットに伝えずに行う訓練は「LOFT」と呼ばれ、パイロットの操縦技術の向上にとても重要になっています。矢口監督は、そういう細部もきちんと取材して作品をつくり上げていると感じました。
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