世界最大のハブ空港を拠点にした
縦横無尽の国際ネットワーク
国内線と国際線の収益バランスを見ると、デルタ航空はかつて全収益の80%を国内線で上げていました。もともと国際線向きのワイドボディ機も多く保有していましたが、そのほんとんどを国内路線で使用。「チャプター11」申請後に積極的に進めてきた改善策の一つが、それらワイドボディ機をヨーロッパや中南米などの国際線に再配置するという機材のリポジショニングです。そうして国内線と国際線のバランスを見直してきた結果、現在の比率は国内線65に対して国際線が35に。収益構造を大きく変えることに成功しました。
「つまり国際路線への展開で、市場環境の好不調に関わらずコスト面での競争に生き抜ける体質改善を進めたのです」とエレッジ氏。「私たちの理想とする収益構造は、国内線と国際線が50対50です。その目標達成に向け、今後も国際線ネットワークの拡充を全力で進めていきます」
地域別に見ていくと、もともと強かった大西洋路線では、ウィーンや東欧のプラハ、ブカレスト、中東のドバイなどへの路線を新設。また、もう一つのハブ空港であるニューヨーク(JFK)からロンドン・ヒースローへの路線開設を視野に入れた準備もスタートしました。さらに南アフリカのヨハネスブルグや、今後はナイジェリアのラゴスなどにも路線展開し、アフリカ大陸へのネットワークも拡大していく計画です。約50都市へ週400便を運航する中南米エリアでは、カリブ諸国を含めた6カ国17路線を新たに開設予定で、関係者たちは「ビジネス需要だけでなくレジャー需要も積極的に取り込んでいきたい」と意欲を燃やします。
世界一のハブ空港であるアトランタ国際空港(左)と、新しいクラウンルームクラブ・ラウンジ(右) |
そうした国際ネットワークの展開で重要な役割を果たすのが、冒頭で紹介した同社のハブ拠点──アトランタ国際空港です。アトランタ空港からは現在、約240の路線が就航し、1日の離発着は1,000便を超えました。空港内には、ビジネスクラス旅客向けの新しい「クラウンルームクラブ・ラウンジ」をオープン。この世界最大のハブ空港を拠点にした今後の構想について、エレッジ氏は次のように話します。
「アメリカ国内やヨーロッパ、中東など海外からのお客さまをアトランタにお連れし、ここをゲートウェイとして中南米やアジアへの快適な旅を提供する──それが私たちがめざすネットワークの形です。そのためには、アジアへの拡大も重要な戦略の一つですね。アトランタとニューヨーク(JFK)の2つの拠点に加えて、今後はロサンゼルス空港をアジア方面のハブ空港とし、旅行先としての人気が高まりつつある中南米へのゲートウェイ機能を強化していきたいと考えています」
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