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村田吉弘──“機内食”を変えた料理人(2ページ目)

京懐石の老舗料亭『菊乃井』のオーナーシェフ、村田吉弘さん。エアライン業界における「2005年話題の人」として、私はこの村田シェフにスポットを当てました。さて、その理由は──。

執筆者:秋本 俊二

季節よって変化する花をモチーフに創作された、
ビジネスクラス向けの新・和食メニュー。


「花ごよみ」発表会
多くの報道関係者を招いて開催された05年11月の「花ごよみ」発表&試食会
現在、雲の上の機内でシンガポール航空が提供する和食・懐石料理は、すべて村田さんの手で創作されたものです。村田さんはまず、ファーストクラス向けの和食メニューを完成させました。その本格的な京懐石料理が利用者から大好評だったのを受け、その後はビジネスクラス向けのメニュー開発にも着手。そうして05年秋に誕生した新作は「花ごよみ」と名づけられ、同年11月にホテルオークラ東京に多くの報道関係者を招いて披露されました。

「花ごよみ」は、春、夏、秋、冬──季節によって変化する花から得たインスピレーションを9種類の前菜と主菜にアレンジした料理です。それぞれの季節ごとに4つのバージョンを用意。口取り、和え物などの冷たい料理と、焼き物、炊き合わせなどで構成され、ご飯、味噌汁、冷たいそばがつきます。05年11月からシンガポールと東京、名古屋、大阪、福岡間の各路線、および東京とロサンゼルスを結ぶ路線の朝食、昼食、夕食メニューとして提供を開始しました。

「世界中の食文化を見わたしてみても、クリームもバターもオイルも使わずに料理をつくってきたのは日本だけ」と言う村田さん。「狭い機内で高カロリーの食事を余儀なくされてきた利用者たちを、これであの苦痛から解放してやることができる──そんなメニューを完成させたと自負しています」

花ごよみ
四季の花をモチーフに創作された新・和食メニュー「花ごよみ」
村田さん自信のこの新作を、私も試食させていただきました。少しずつでいいから、いろんな種類の料理を食べたい──「花ごよみ」はそんな要望も満たしてくれるメニューです。一つの箱が9つの枠で仕切られ、そこに入っている食材は計30種類。もちろん村田さんが言うように、どの料理にもオイル、バター、クリームなどは一切使われていません。

「このメニューを地上のゆったりとした雰囲気の中でお酒を飲みなが食べると、きっと1時間半くらいはかかるでしょう。日本からシンガポールへは片道約6時間ですから、機内で『花ごよみ』をゆっくり楽しんでいただきながら、映画を観て、ひと眠りした頃にちょうどチャンギ空港に到着する。機内食としては完璧なメニューだと思っています(笑)」

  ≫≫≫ つづいて「村田シェフが挑む次なる究極のテーマとは?」へ
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