B7E7の開発・生産の役割分担についてボーイング社から発表された資料を見ると、胴体部分でボーイング社が独自に生産するのは垂直尾翼、主翼のフラップ部分、コクピットを含む胴体前方部分、主翼と胴体の接合部分(フェアリング)など全体の計35%にとどまっています。同じ比率の35%を、日本の
三菱重工業、
川崎重工業、
富士重工業の3社が担当。日本メーカーの過去の開発実績としては
B777の21%が最高で、7E7はこれを大幅に上回ることになります。さらにイタリアのアレニア社が米国ボート社と共同で尾翼の水平安定板や中央胴体部分など26%程度を生産し、残り4%についてはまだ未定といいます。
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右図に示したように、三菱重工は日本メーカーとして初めて主翼の構造部分(ウイング・ボックス)を開発・製造します。川崎重工は主翼前方の胴体部分などを、富士重工業は中央の胴体翼を担当。また前述したように主翼には炭素繊維と樹脂を組み合わせた複合材を使う計画で、そこでも日本の技術力への期待が高まっています。民間機ではまだ例がありませんが、三菱重工は防衛庁向けの支援戦闘機
F2の主翼に複合材を使った実績をもち、今回の計画でもその点が評価されたのでしょう。ボーイング社は製造分担について「最善の技術と生産能力を、自社のワクを超えて探し求めた結果」と話しています。
B7E7は2004年から製造に向けた本格的な設計がスタートし、2007年に初飛行、就航は2008年を予定し、現在世界50社以上のエアラインと契約交渉が進められています。