「自然界ほど独創的でアート感覚に満ちあふれているものはない」。そう思わせるのが、原田昭子先生の押し花の世界かもしれません。
新宿のギャラリー高野で開かれた、『庭の押し花』の出版記念展示会を訪れたら、新宿といった都会の喧噪の中で、静かで素敵な空間を堪能することができました。
ゴージャスな蘭やバラや百合が咲き乱れる結婚式のブーケのような押し花も素敵かもしれませんが、原田先生の押し花には、ホッとした気分にさせられます。
その秘密は自然との対話にあるのではないでしょうか? 庭にひっそりと咲いている野草をそっと摘み取ってていねいに押し花にして、それを額にレイアウトしていきます。一本のめしべやくるくると巻いたツルたちが、まるで生きているかのようにのびやかに配置されていきます。そのバランス感覚のよさには、誰にも真似できない独特の間があります。
この1本の花を生かすには、どんなふうに置いたらいいだろう? そう考え抜いた先生の思いが伝わって来るようです。
今回出版された本は、露草や紫陽花、コスモス、落ち葉など、ごく普通の家で見ることができる庭の花々を押し花にしました。ページを開くごとに「あの花がこんなふうに?」と新鮮な驚きに満たされます。
『庭の押し花』原田昭子著 文化出版局刊 1680円
著書:『やさしい押し花』(株)日本ヴォーグ社刊、『楽しいおし花』(株)ブティック社、『額の中の押し花』(株)ブティック社他多数。
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