パッチワーク・キルトのアップリケモチーフの中で、もっとも人気があるキャラクターが「サンボンネット・スー」です。サンボンネット(日よけ帽子)をかぶったスーは、顔を帽子に隠したまま、パッチワークの歴史の中を生きてきました。顔が描かれなかったことにより、流行に左右されることなく、いつまでも人気が保たれているのかもしれません。
サンボンネット・スーは、どの子もサンボンネット(日よけ帽)をかぶり、たいていはワンピースにエプロンという姿です。「大草原の小さな家」のローラをご想像ください。では、いつごろからスーは、その格好だったのでしょう? 最初にスーをアップリケモチーフとしてキルトに取り入れたのは誰なのでしょう? そもそも、スーという名前からして、モデルが実在していたのでしょうか?
<絵本の中のスー>
サンボンネット・スーの原型は、1800年代にイギリスで出版された。ケイト・グリーナウェイの絵本に登場します。マザーグースの挿し絵画家として有名なグリーナウェイは、のどかな田舎風景の中で遊ぶ子供たちを描き、評判になります。それから、ケイトの描いた日よけ帽をかぶった女の子が刺しゅうの図案として使われることになります。
さらに、絵本画家バーサ・コルベットやデザイナーのバーンハート・ウォールが、日よけ帽で顔を隠した女の子を描きました。1900年から1905年のことです。バーンハートの絵葉書には「リトル・スージー・サンボンネット」とタイトルがつけられました。これがスーの名前の由来でしょう。
<アップリケとして登場>
サンボンネット・スーをアップリケして、それをアメリカで広めたのはマリー・ウエブスターです。彼女はアメリカで最初のキルトデザイナーとして、数多くのキルト作品をデザインした女性です。1912年にマリーがアップリケしたスーのキルトはカラーで出版され、全米で大流行。その後スーはパッチワークにはなくてはならないパターンとして定着し、世界中のキルターが思い思いのスーをデザインし続けています。
その後のスーの様子は次ページにて。