団塊世代向けショッピング、ポータルサイトの問題点
昨年辺りから少しづつ、団塊世代向けのサービスを意識したサイトが増えていますが、いくつかの問題点も含んでいます。どのサイトもワンクリックで文字を大きくできるようになっていたり、最初から大きい文字で表記していますが、前ページでも述べたように、どれも元のサイトから派生したサービスなので、最終的には元のサイトにリンクされています。つまり購入目的の商品や確認したいレストランの詳細などは通常のサイトなので文字の大きさも、ブラウザの元々の設定に戻ってしまうということです。勿論、最初からブラウザの設定で文字の大きさを調整していれば問題がありませんが、それであればそのサイト上だけで文字の大きさ設定をできるようにするのではなく、ブラウザの設定方法を紹介した方がより親切なのではないでしょうか?
更に一旦、サイト外に進むと、団塊世代向けサイトに戻るにはブラウザの戻るボタンを押さないと戻れません。これも特に何の説明もないというのは少し不親切のような気がします。ポータルサイトであるため、様々なサービスとの連携というのは勿論、大事ですが、団塊世代向けサイトに限って言えばそのサイト内で全て完結できる仕組みにすることが必要なのでは?という気がします。
団塊世代が求めるセカンドライフとは?
ウェブショップの総合支援事業などを行っているEストアーが昨年6月に発表した全国の団塊世代の男性を対象に行った 「団塊世代のインターネット活用と定年後の生活に関する調査(PDF)」によると、Eストアーの調査結果で「定年後にネットショップを運営してみたいか?」という問いに61.6%の人がやってみたい、もしくは興味があると回答しています。情報を検索したり、買い物をするだけでなく、実際に自分でも趣味や経験を生かしてネットショップを運営したいということは、Webをより積極的に活用し、セカンドライフを充実したものにしたいという考えの現れでしょう。ただ現実的に今まで一度も経験のない人がネットショップを簡単に運営することができるのでしょうか?自分のコレクションをオークションで販売する程度であればそれほど難しくはないかもしれませんが、経験のない人が、いかにネットとはいえショップを始めるというのは決して簡単なことではないでしょう。しかし、日本では新しいネットショップ形態、ドロップシッピングの登場によってネットショップを簡単に運営することが可能になるかもしれません。
ショップ運営を簡単に可能にするドロップシッピングとは?
ドロップシッピングとは簡単に言うと他人の商品をまるで自分の商品であるかのごとく販売できるシステムで、この販売方式はアメリカでは以前より行われていましたが、昨年あたりから日本でも本格的にこのサービスが開始されています。このドロップシッピングですが、現在、日本でも活発に行われているアフェリエイト広告とはどう違うのでしょうか?アフェリエイト広告は自分が運営するブログやWebサイト上に提携しているECサイトの商品バナーなどを貼り付け、それを見たユーザーがクリックし、実際にそのECサイトで商品を購入すれば、運営者があらかじめ決められた料率の金額やポイント受取ることが出来るというシステムです。つまりアフェリエイト広告とはその名前の通り、広告に過ぎません。しかし、ドロップシッピングは自分のブログ、Webサイトで商品紹介だけではなく販売まで行います。そして受注、発送業務は全て提携先のECサイトでやってくれます。自分のサイト内での販売ですので、販売価格も自分で設定できますし、商品によってはオリジナル商品の作成も可能です。勿論、在庫を自分で持つことは一切ありません。
アフェリエイト広告とドロップシッピングの違い
ドロップシッピングはなぜ、団塊世代に向いているのか?
ドロップシッピングでは、自分のサイトがそのままネットショップになりますが、在庫管理、受注、発送などの業務は一切、必要ありませんので、運営者はマーケティング、販促にのみ注力すればいいわけです。そして、これこそが私がドロップシッピングが団塊世代に向いていると考える理由でもあります。一般的に若年層にはなく、定年後の団塊世代にあるものというのはなんでしょう?それは「時間とお金」そして「経験と知識」です。ドロップシッピングはこれらの全てが役に立つスキルとなります。例えば、元々自分が働いていた会社の商品を販売すれば、それまでに得た商品知識が存分に生かせます。また釣り、ゴルフなど趣味の分野でも長年の経験と知識は若年層にはない強みです。
勿論、まだまだ開始されたばかりの時期で、一般ユーザーにこの販売方式が十分に認知されていませんし、やはり今まで販売の経験がまったくなかった人では簡単にショップを運営するのは難しいでしょう。しかし、始まったばかりというのはチャンスでもあります。自由になった時間を生かし、失敗を繰り返しながらも経験を積んでいけば、一般に認知され始めた時には他の人に比べ大きなアドバンテージが持てます。
本当に団塊世代が求めているWebサービスとは?
前出のEストアーの調査で、インターネットの利用目的という質問の上位に入っているのは、「情報検索」、「ニュースを見る」、「チケットや宿泊の予約」、「オークション」、「ネットバンキング」など、特に高年齢だからといって若年層のユーザーが利用しているサービスと違うことをしているわけではないという結果が出ています。文字の大きさなどは自分で調節できるわけですから、もしかすると団塊世代の人々が求めているサービスは今あるようなサービスとはまったく違うものなのかもしれません。元々、ネットとはリアルの世界と比べ、あまり年齢の垣根はありません。若年層が物怖じすることなく、高齢者にも意見が言え、また高齢者もリアルの世界ではなかなかできない若年層とのコミュニケーションをとりやすい媒体なのですから。現在はまだ、リアルの世界の延長で若年層と団塊世代、高齢者を運営者側で勝手に振り分けてしまい、わざわざ垣根を作ってしまっているのではないでしょうか?ネットに慣れ親しんだ団塊世代自らが、この垣根を取り払い、ネットに積極的にアプローチし始めた時、初めて、本当の意味でネット上での団塊世代に適したサイト、サービスが生まれるのでしょう。
今後、携帯電話の進化やインターネットAQUOSの登場など今まで以上にWebに接する機会は増えていきます。その時に先頭に立ってWebを引っ張っているのは、もしかしたら団塊世代の人々かもしれません。
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