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「寝不足はダメ」「もっと寝なきゃ」と焦らなくていい? 東大名誉教授が語る睡眠時間と寿命の真実

「睡眠不足は寿命を縮める」と思いがちだが、本当に睡眠時間と寿命は単純に比例するのだろうか。東大名誉教授がデータをもとにその関係をひも解く。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

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睡眠時間が短い日本人、それでも長寿なのは? ※画像:PIXTA
睡眠時間が短い日本人、それでも長寿なのは? ※画像:PIXTA

先進国の中でも睡眠時間が短いとされる日本人。一方で、日本は世界有数の長寿国でもある。「長く寝るほど健康にいい」とは限らないのだろうか。睡眠時間と死亡率のデータから、意外な事実が見えてくる。

『東大名誉教授が教える 死なない生き方』(北村俊雄著)では、iPS細胞の誕生にも貢献した著者が、最新研究をもとに「健康寿命100歳」を手に入れるための運動、睡眠、食事などのポイントを具体的に解説している。

本書から一部を抜粋し、日本人の睡眠時間の実態と、睡眠時間の長さが死亡率にどのように関係しているのかを紹介する。

目次

日本人の74%が「睡眠6時間以下」?

ショートスリーパーのような特殊な例はともかく、OECD(経済協力開発機構)の2021年の調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分と先進国中一番短い。

これを読んでくださっている人でも7時間も寝ていない人は多いと思う。私も忙しい時は5時間も睡眠がとれないことが多く、7時間睡眠は目標だ。実際、最近の他の統計によると、日本人の74%が睡眠6時間以下で、睡眠に満足している人はわずか17%だという。こちらの統計の方が納得できる結果ではないかと思う。

日本人が他の国の人に比べて睡眠時間が少ないのは、単に忙しいというだけなのか、あるいは遺伝的な背景も影響しているのかは分からない。

これに関して気がつくことがある。学会で会場が少し暗くなってスライドが映し出される時、眠くなることがあるが、日本では結構な人数の人が学会中に熟睡している。ところが海外の学会では、寝ている人がほとんどいないのである。時々、寝ている人を見かけると日本人だったりする。

もちろん、時差の影響による眠気もあるのだろうが、日本では、睡眠時間が不足して疲れている人が多いのかもしれない。

睡眠と平均寿命に関する意外な事実

一方では先進国で最も睡眠時間が短い日本が、30年以上も世界一の長寿国であることを考えると、睡眠が足りないことが平均寿命に与える影響は少なそうだ。

さらに、睡眠時間と死亡率を比べたデータ【画像】を見ると、睡眠時間が少々短くても死亡率はそれほど高くはない。男性で、睡眠時間が5時間以下の場合に、癌と循環器疾患による死亡が多いのが目立つ程度だ。なぜか女性にはその傾向がない。

睡眠時間と死亡リスクとの関連 ※画像出典:『東大名誉教授が教える 死なない生き方』(北村俊雄著)
【画像】睡眠時間と死亡リスクとの関連 ※画像出典:『東大名誉教授が教える 死なない生き方』(北村俊雄著)

「長く寝るほど健康」とも限らない?

逆に睡眠時間が9時間以上の場合は、循環器疾患での死亡が男女ともに高いと報告されている。

年齢、BMI、喫煙、飲酒、コーヒー摂取量、余暇の運動、健診の有無などさまざまな要素を統計学的に調整した結果となっているが、なぜ睡眠時間が長すぎると循環器疾患による死亡率が高いか不明だ。

睡眠時間が長いと、起きて活動する時間が短いことが、循環器系に悪影響を与えるのだろうか? 最近は、癌患者にも運動療法が効果を発揮するという報告もある。睡眠時間が長すぎると癌による死亡率が高いということと関係している可能性がある。

これらのデータから言えることは、睡眠時間が少々短くても生命予後にはあまり関係がなさそうだということだ。ただ、あまりに短いと体調が悪くなり免疫力も落ち込んで、癌が増えるという可能性はありそうだ。

『東大名誉教授が教える死なない生き方 科学でひもとくアンチエイジングと健康寿命』(北村俊雄著)
『東大名誉教授が教える 死なない生き方』(北村俊雄著)

著者:北村 俊雄(東京大学名誉教授)
1956年に大阪府で生まれ、兵庫県で育つ。東京大学医学部卒業後、内科研修を経て医学部第3内科に入局。国立がんセンター研究所ウイルス部に出向して白血病ウイルスの実験に従事。その後、第3内科に戻り血液内科の臨床と研究を行う。32歳で米カリフォルニア州DNAX分子生物学研究所に博士研究員として留学。37歳で自らの研究室を持つ。40歳で帰国し、東京大学医科学研究所で日本初の寄付講座を担当。1991年、同研究所先端医療研究センター教授。同センター長を経て、2022年から神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター長。東京大学名誉教授。

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