
「体にいいはず」と思って選んでいたものが、実は体に負担をかけているかもしれない……。普段何気なく口にしている食品の中には、意外な「健康の落とし穴」が潜んでいる。
『東大名誉教授が教える 死なない生き方』(北村俊雄著)は、生命科学の第一人者が「健康寿命100歳」を叶えるための食事や運動のポイントを明かした一冊。
本書の中から、食べすぎに注意したい食品と、著者が自らの失敗から見直した食習慣について抜粋して紹介する。
控えるべき具体的な食品と食べ方
健康に良い食品、悪い食品についてはいろいろと言われている。
しかし、健康に良くても、それだけを食べつづけるのは、良くないことは明白だ。バランスよく食べることが大事だが、そのバランスの中で控えるべき食品を紹介する。
ここで紹介するのは、主に動脈硬化に対するもので、本人あるいは血縁者に血圧が高い人、LDLコレステロールや中性脂肪が高い人、心筋梗塞・脳梗塞の既往症がある人は特に気をつけてほしい。
牛や豚の赤身肉はリンを多く含んでいるので、食べすぎると心血管系に有害だという報告があるが、専門家によると赤身肉に含まれているリンは有機リンであり、腸管から半分ぐらいしか吸収されないので、大きな問題にならないという。豆類やカボチャなどに含まれている植物性のリンは、さらに吸収率が低く(30%程度)、健康にいい。
一方、ベーコンやソーセージなどの加工肉や、プロセスチーズや炭酸飲料に含まれているのは「無機リン」であり、100%腸管から吸収されるので、腎臓が悪い人には問題になる。透析している人の死亡率を上昇させるという報告もある。
さらに加工肉には、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が多く含まれていることもあり、控えるべき食品だ。
同じ理由で揚げ物もよくない。特に、何度も同じ油を使ってあげたフライドポテトやフライドチキンには、有害な脂肪酸が多いので注意が必要だ。ハンバーガーなどのファストフードは、含まれる脂肪や塩分が多くカロリーも高いので、心血管病や糖尿病のリスクを高める。
清涼飲料水は水分補給には良いが、塩分や砂糖が含まれており、飲みすぎると肥満、高血圧、糖尿病のリスクが高まる。
毎日飲んでいた清涼飲料水をやめた理由
私は水分補給のために、ある清涼飲料水をずっと飲みつづけていた。100ミリリットルあたり15キロカロリーなので、健康上は大丈夫だろうと思っていたが、ヘモグロビンA1c(1カ月の血糖値の平均と相関する値)が正常上限となったため、その清涼飲料水はゴルフをする時だけにして、普段は水かお茶にするようになった。
一日中、カロリーを持続して摂取すると、インシュリンをずっと出しつづけることになり、糖尿病につながる。インシュリンは、血糖値が上昇すると膵臓のβ細胞から放出されるが、カロリーが持続的に入りつづけることで、β細胞が疲弊することになる。β細胞が疲弊してインシュリンを放出できなくなると、糖尿病の発症につながるのだ。
アルコールも、もちろん健康のためには飲みすぎるとよくない。
ポテトチップス、スナック菓子、クッキーやパイなども、カロリーが高く、飽和脂肪酸も多い。朝食のシリアルも毎日のことなので、砂糖が入っているシリアルを食べ続けることは避ける方が無難だろう。一見、健康食品のように思えるグラノーラも、砂糖・甘味料や添加物がたくさん使われているものが多いので、食べすぎには注意だ。
身体に悪いものばかり並べていくと、食べるものがなくなってしまうが、これらの食品類も「食べてはいけない」のではなく、「食べすぎないこと」が重要だ。
食べると身体にいい食品
ここで、食べると身体にいいものをあげておく。
魚、鶏肉、豆類、青野菜、ナッツ類、アボカド、トマト、ベリー類は、身体の健康に良いとされている。

著者:北村 俊雄(東京大学名誉教授)
1956年に大阪府で生まれ、兵庫県で育つ。東京大学医学部卒業後、内科研修を経て医学部第3内科に入局。国立がんセンター研究所ウイルス部に出向して白血病ウイルスの実験に従事。その後、第3内科に戻り血液内科の臨床と研究を行う。32歳で米カリフォルニア州DNAX分子生物学研究所に博士研究員として留学。37歳で自らの研究室を持つ。40歳で帰国し、東京大学医科学研究所で日本初の寄付講座を担当。1991年、同研究所先端医療研究センター教授。同センター長を経て、2022年から神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター長。東京大学名誉教授。






