
日本銀行(日銀)が利上げを進め、普通預金や定期預金の金利も上昇しています。長く続いた超低金利時代に比べれば、「現金で持っていてもほとんど増えない」という状況は変わりつつあります。
だからといって、投資しているお金を全て預金へ戻した方がよいわけではありません。大切なのは、日常生活や万一の事態に備える「生活防衛資金」と、当面使わない「運用資金」を分けて考えることです。
生活防衛資金は何のためのお金?
生活防衛資金とは、病気や失業、収入減少など、予想していなかった出来事が起きたときに生活を維持するためのお金です。
例えば、突然収入がなくなっても、家賃や住宅ローン、食費、水道光熱費などの支払いは続きます。こうした事態に備えて、すぐに引き出せるお金を確保しておく必要があります。
株式や投資信託を持っていたとしても、必要なときに相場が下落している可能性があります。生活費を確保するために、値下がりした資産を慌てて売却するような状況は避けたいところです。
まずは生活費の3~6カ月分を目安に
では、生活防衛資金はいくら用意すればよいのでしょうか。1つの目安として考えやすいのが、毎月の生活費の3~6カ月分です。例えば、毎月の生活費が25万円なら75万~150万円程度となります。
ただし、必要な金額は家庭によって違います。共働きで収入源が2つある世帯と、1人の収入で家計を支えている世帯では、万一に備えて必要となる金額も変わります。
自営業やフリーランスなど毎月の収入に変動がある人なら、6カ月~1年分程度など、会社員より多めに確保しておく考え方もあります。
大切なのは「○○万円あれば安心」と一律に決めるのではなく、自分の毎月の支出と収入の安定性から考えることです。
近いうちに使うお金も投資に回さない
生活防衛資金とは別に、数年以内に使う予定のあるお金も現金で確保しておきたいところです。
子どもの進学費用や住宅購入の頭金、車の買い替えなど、使う時期がある程度決まっている資金を株式や投資信託で運用すると、必要になったタイミングで相場が下落している可能性があります。
「生活防衛資金」と「近いうちに使う予定のお金」を確保し、それでも余裕がある資金をNISA(少額投資非課税制度)などで長期運用する、と考えると整理しやすくなります。
金利が上がったから現金を増やすべき?
預金金利が上がれば、以前より現金を持つメリットは大きくなります。しかし、金利上昇だけを理由に現金比率を大幅に引き上げる必要はありません。
例えば、預金金利が上昇しても、それ以上に物価が上昇していれば、お金の実質的な価値は目減りします。長期的な資産形成を考えるなら、預金だけでなく株式や投資信託などを組み合わせることも重要です。
一方、生活防衛資金は「増やすためのお金」ではありません。いつでも使えることを優先し、普通預金など値下がりする心配がなく、すぐに引き出せる場所で管理するのが基本です。
「現金をいくら持つか」は家計によって違う
現金を持ち過ぎれば、長期的には資産を増やす機会を逃す可能性があります。一方、現金が少な過ぎれば、急な出費が発生したときに投資資産を売却したり、借り入れに頼ったりすることになりかねません。
まず毎月いくらあれば生活できるのかを確認し、その3~6カ月分を1つの目安として生活防衛資金を準備する。そのうえで、教育費など近い将来に必要となる資金を別に確保し、残った余裕資金を長期運用に回すと考えると分かりやすいでしょう。
金利が上がったから現金を増やすのではなく、「何のために持つお金なのか」を整理することが大切です。預金と投資の役割を分けることが、金利のある時代の家計管理につながります。







