資産運用

金利上昇中なら個人向け国債は「変動10年」がいい?

日本銀行は2026年9月18日、政策金利を1%から1.25%へ引き上げました。金利が上がるなか、個人向け国債の金利も2%前後まで上昇しています。今後も金利が上がると考えるなら、「変動10年」を選んだ方がいいのでしょうか。※サムネイル画像:PIXTA

田代 昌之

田代 昌之

資産運用・ビットコイン ガイド

1979年生まれ、中央大学文学部卒業。新光証券(現みずほ証券)やシティバンク、投資助言会社などでアナリスト業務やコンプライアンス業務を経験したのち、暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事。2024年よりフリー。

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個人向け国債の金利も2%前後に

日本銀行(日銀)は、9月18日の金融政策決定会合で利上げを行い、政策金利を1%から1.25%へ引き上げました。

個人向け国債の金利も2%前後に(画像:PIXTA)
個人向け国債の金利も2%前後に(画像:PIXTA)

預金金利だけでなく、国債の金利も高い水準になっています。財務省が2026年9月に募集している個人向け国債は、「変動10年」の初回金利が年1.95%、「固定5年」が年2.24%、「固定3年」が年1.96%です。

「これからも金利が上がるなら、変動10年がよさそう」と思う人もいるでしょう。ただ、現在の金利だけを見ると、変動10年より固定5年の方が高くなっています。

「変動10年」は半年ごとに金利が変わる

変動10年の特徴は、半年ごとに適用金利が見直されることです。金利は10年国債の入札結果をもとにした「基準金利×0.66」で決まり、最低でも年0.05%が保証されています。

2026年9月募集分では基準金利が年2.96%で、これに0.66を掛けた年1.95%が初回金利となりました。

ここで注意したいのが、基準金利の上昇がそのまま変動10年の金利上昇になるわけではないことです。

例えば、基準金利が0.25%上昇しても、変動10年の適用金利の上昇幅は0.25%×0.66=0.165%です。現在の固定5年の年2.24%と同じ水準になるには、基準金利が現在の2.96%から3.4%程度まで上昇する必要があります。

金利上昇の恩恵を受けられる商品ではありますが、上昇分も0.66倍になる点は知っておきたいところです。

今は「固定5年」の方が高い

2026年9月募集分では、変動10年の初回金利が年1.95%なのに対し、固定5年は年2.24%です。100万円を固定5年で満期まで保有すれば、5年間で受け取る利子は税引前11万2000円です。

一方、変動10年の金利が5年間ずっと年1.95%だったとすると、同じ5年間の利子は9万7500円。その差は1万4500円になります。

変動10年が固定5年に追いつくには、その後の金利上昇によって、この差を取り戻さなければなりません。

例えば、初回の年1.95%が1年間続いたとすると、その後4年間の平均金利が年2.31%程度を超えると、5年間の受取利子は固定5年を上回る計算になります。

「今後、金利が上がりそう」というだけで、必ず変動10年の方が有利になるわけではないのです。

「10年」という名前でも10年間動かせないわけではない

変動10年という名前を見ると、「10年間お金を動かせないのでは?」と思うかもしれません。

個人向け国債は、発行から1年経過すれば原則として中途換金できます。額面1万円単位(額面100円につき100円)で換金できますが、「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」が差し引かれます。

簡単にいえば、中途換金すると直近1年分の税引後利子に相当する金額が差し引かれる仕組みです。

そのため、発行から1年たった直後に換金すると、受け取った利子は実質的にほぼ残りません。2年後なら、おおむね最初の1年分の利子が残るイメージです。最初から1年程度で使う予定のお金には向きません。

金利上昇中だから「全部を変動10年」にする必要はない

変動10年と固定5年のどちらが結果的に有利になるかは、これからの金利次第です。現在の年2.24%を5年間確保したいなら固定5年、今後の金利上昇を取り込みたいなら変動10年という考え方ができます。

固定3年は年1.96%と固定5年より低いため、例えば3年後に使う予定があるなど、期間を短くしたい場合の選択肢になります。

また、どれか1つに決める必要もありません。

例えば、100万円なら、50万円を固定5年、50万円を変動10年に分ける方法があります。個人向け国債は毎月発行されるため、50万円を今月、残り50万円を別の月に購入する方法もあります。

金利上昇中だから変動10年、と単純に決めるのではなく、「現在の金利を固定したいお金」と「今後の金利上昇を取り込みたいお金」に分けて考えると分かりやすいでしょう。

※個人向け国債の金利は財務省が公表している2026年9月募集分を参照。変動10年は第198回債・初回年1.95%、固定5年は第186回債・年2.24%、固定3年は第196回債・年1.96%です。募集期間は2026年9月3~30日、発行日は10月15日です。

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