
「子ども1人を育てるのに3000万円かかる」と聞くと、赤ちゃんが生まれた瞬間に毎月の家計が一気に苦しくなるのでは……と不安になりますよね。
しかし実際には、出産直後の家計は「思ったほど変わらない」家庭も少なくありません。外食費やレジャー費が減り、おむつ代などの増加分と相殺されるケースが多いからです。ただし、行事費や将来の教育費など、時期によってかかるお金の質はガラリと変化します。
30年以上『たまごクラブ』のお金特集を監修してきたファイナンシャルプランナー・畠中雅子氏の著書『働くママのための妊娠・出産・育児のお金と制度、ぜんぶ教えてください!』(日東書院本社)より、赤ちゃん誕生から高校卒業までにかかる費用と、失敗しない子育て費の考え方を解説します。
赤ちゃんにはどれくらいお金がかかる?
子どもにかかるお金のスタートは、妊娠を確定するために受診する「初回の妊婦健診費」です。初回の妊婦健診費は基本的に助成の対象外なので、全額を自費で支払います。
妊娠が確定したあとは、妊婦健康診査受診票が最低でも14回分もらえます。妊娠経過が順調であれば、出産までにかかる費用は4~5万円程度が一般的です。
出産費用については、分娩費から出産育児一時金の50万円をあらかじめ差し引いてくれるので、特別高い産院で出産をしなければ、10万円以下で収まるケースが多くなります。
さらに妊娠中に5万円、出産前後にも5万円がもらえる妊婦のための支援給付もあるので、妊娠中や出産にかかる自己負担分の多くは助成でまかなえます。
■妊娠中から出産までに全員が受けられる助成など
・妊婦健診費用14回の助成
・出産育児一時金
・妊婦のための支援給付
出産後しばらくは家計の変化はあまりないことも
出産後の家計費の変化としては、おむつ代が発生することや、水道代や電気代などの光熱費がアップすることが挙げられます。母乳ではなく、粉ミルクで育てる場合は、粉ミルク代の負担も発生します。ただし、出産後しばらくは外食費やレジャー費が減ることで、そうした費用と子育て費はほぼ相殺されるケースが多いようです。
赤ちゃんが生まれてすぐに、家計費が劇的に増える心配はしなくても大丈夫でしょう。
■アップする支出
・おむつ代、粉ミルク代、水道代、電気代など
■ダウンする支出
・外食費、レジャー費、交際費など
【ここに注目!】子どもの行事費
そのほかにかかる費用としては、季節や年齢に応じた行事費です。子どもが誕生してからの数年間は行事が多く、お宮参りやお食い初め、初節句、七五三、初めての誕生日などがあります。ひな人形、兜飾りの購入、衣装のレンタル、フォトスタジオでの写真撮影、アルバム作り、両家の祖父母を招いた食事会などを行うと、それぞれけっこう費用がかかります。
就学前の子育て費は「年間100万円前後」
赤ちゃんが生まれても、生活費が急激に増えるわけではありませんが、2025年10月に国立成育医療研究センターが発表した「0歳~高校3年生の子育てにかかる年間費用の調査結果」をみてみると就学前の子育て費は1年間で100万円前後になります。
このデータは継続して発表している調査ではありませんが、0歳から18歳までの子どもをもつ母親4166人から回答を得て集計したもの。教育費だけではなく具体的な家計関連も集計している貴重なデータなので、子育て費の参考になるでしょう。
誕生から高校卒業までの生活費は「合計約2170万円」
子育てにかかる年間費用の赤ちゃんが生まれてから高校3年生までにかかった合計額を計算してみると、第1子の場合「約2170万円」になります。子どものための預貯金や保険料などを含めると「約2570万円」に膨らみます。この金額には大学時代の学費は含まれていませんので、大学や専門学校などに進学させれば、子ども1人育てるのに「3000万円」が現実のよう。
ただし、3000万円は大学を卒業させるまでの総合計で、短期間にまとまった費用がかかるのは高校から大学にかけて。しかも高校は助成の充実によって私立高校を選んでも負担はかなり減ってきています。
■子育て費のpoint
1. 高校までの子育て費は、家計費のなかでやりくりを
2. 高校では通学費や部活動費、予備校費用がかかる可能性が
3. 大学・専門学校などにかかる教育費は子どもが小さいうちが貯めどき

この記事の執筆者:畠中雅子 プロフィール
ファイナンシャルプランナー(CFP®)
大学時代にフリーライター活動をはじめ、マネーライターを経て、1992年にファイナンシャルプランナーになる。原稿執筆、監修業務、相談業務、セミナー講師、講演などをおこなっており、メディアへの掲載件数は1万件を超える。二男一女の母としての経験をもとに、『たまごクラブ』のお金特集を30年以上監修している。著書・監修書は70冊超。






