今回は、シニア世代が確定申告で損をしないために確認すべきポイントをチェックリスト形式で解説します。自分に当てはまる項目がないか、ぜひチェックしてみましょう。
年金受給者のための「確定申告不要制度」とは?
所得税の確定申告は、1年間の全ての所得を計算し、源泉徴収された税金との過不足を精算する手続きです。公的年金も「雑所得」として課税対象ですが、受給者の負担を減らすため、以下の2つの条件を両方満たす場合は、確定申告不要制度が適用され、申告が不要となります。
・公的年金の収入金額が「400万円以下」(かつ、その全てが源泉徴収対象であること)
・年金以外の所得(個人年金、給与、生命保険の満期金など)が「20万円以下」
この制度により、多くの方は申告の手間が省けます。ただし、条件を満たしていても「申告が必要(またはした方が得)」なケースがあります。
節税チェックリスト:これに当てはまれば税金が戻る可能性が!
ここからは、申告することで税金が戻ってくる可能性が高い項目をチェック形式で見ていきましょう。●チェック1:「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を出し忘れていないか?
毎年9~11月ごろ、日本年金機構から「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」が送られてきます。これを提出すれば、配偶者控除や扶養控除、障害者控除を適用してもらうことができ、年金から天引きされる所得税を安くすることができます。
しかし、扶養親族等申告書を提出し忘れている場合は、高い税率で源泉徴収されてしまいます。確定申告を行うことで税金の還付を受けられます。
●チェック2:年の途中で退職していないか?(年末調整を受けていない)
2025年中に会社を辞めて、年末調整を受けていない方は要チェックです。
というのも、会社勤めの給与所得者であれば年末調整で1年分の税金を清算しますが、年の途中で退職した場合は年末調整が行われません。この場合、毎月の給料から差し引かれていた所得税が納め過ぎになっているケースが多くあるため、確定申告で納め過ぎた税金を還付してもらいましょう。
●チェック3:医療費が10万円を超えていないか?
医療費控除は、2025年1月1日から12月31日までに支払った、自分と「生計を一にする家族」の医療費の合計が10万円(その年の所得が200万円未満の人は所得の5%)を超えた場合に利用できます。生計を一にする家族には、別居の親や、共働きの配偶者、仕送り中の子どもなどが対象になります。
計算式は、「実際に支払った医療費の合計-保険金などで補填(ほてん)された額-10万円」です(最大200万円まで)。
対象となるものには、医師による診療・治療費、治療目的の医薬品購入だけでなく、通院費(電車・バス・急ぎのタクシー)、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師による施術費なども含まれます。
クレジットカード払いの場合、実際の引き落としが2026年になっても、決済日(カードを利用した日)が2025年内であれば、2025年分として控除対象になります。
一方で、日頃からドラッグストアで市販薬をよく購入している方は、セルフメディケーション税制がおすすめです。
対象となるのは、健康診断や予防接種、がん検診などを定期的に受けている人が、対象となる市販薬(スイッチOTC医薬品)を年間1万2000円以上購入した場合です。
計算式は、「対象医薬品の購入金額-1万2000円」です(最大8万8000円まで)。
なお、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません。確定申告では、控除額が大きくなる方を選びましょう。
●チェック4:バリアフリー・省エネ・耐震などのリフォームをしていないか?
ご自宅をより住みやすく、あるいは安全に改修した場合、多額の税金が戻ってくる可能性があります。
シニア世代に関わりの深い「バリアフリー改修」「省エネ改修」「耐震改修」などのリフォームは「リフォーム促進税制(住宅特定改修特別税額控除)」という制度の対象になり、ローンを組んでいない「自己資金」での工事でも適用できます。
2026年の確定申告では、2025年12月31日までに入居を開始した以下の工事が対象となります。
・バリアフリー改修:手すりの設置、段差の解消、通路幅の拡張など
・省エネ改修:窓の断熱(二重サッシなど)、床・天井の断熱、高効率給湯器の設置など
・耐震改修:現行の耐震基準に適合させるための補強工事
原則として、対象となる工事費(標準的な費用)の10%が、その年の所得税から直接差し引かれます。なお、対象工事ごとの最大控除額は異なります。
●チェック5:保険の「控除証明書」が手元に眠っていないか?
生命保険、医療保険、地震保険などの保険料を支払っている場合、生命保険料控除や地震保険料控除によって課税所得を減らせます。
毎年10~11月ごろに届く「控除証明書」を保管しているか確認しましょう。もし控除証明書を紛失した場合は、保険会社に再発行を依頼できますので、諦めずに対応しましょう。
まずは「源泉徴収票」を確認することから
確定申告は、払い過ぎた税金を取り戻すための大切な手続きです。まずは手元に届くハガキの「令和7年分 公的年金等の源泉徴収票」を確認することから始めましょう。チェックすべきポイントは、「源泉徴収税額」の欄です。ここに金額が記載されていれば、その金額を上限として税金が戻ってくる可能性があります。源泉徴収税額が0円でないことを確認したら、今回ご紹介したチェックリストの項目を見直してみてください。
該当するものがあれば、還付を受けるために確定申告の手続きを進めましょう。








