しかし実際には、老後破産の大きな原因の1つが貯蓄不足です。年金は一生受け取れる大切な収入ですが、現役時代の給料と比べると金額は大きく減ります。その差を埋める役割を担うのが貯蓄ですが、十分な備えがないまま老後を迎えると、生活は想像以上に不安定になります。
今回は、なぜ貯蓄が少ないまま老後を迎えてしまうのかという理由と、今からでも取り組める現実的な備え方を整理していきます。
人生の「貯めどき」を逃した結果、老後のお金に耐久力が足りなくなる
老後が近づいてから「思ったより貯蓄が少ない」と感じる人の多くは、現役時代に「貯めどき」を意識しづらい状況が続いてきた可能性があります。例えば、
・「余ったら貯金しよう」と考え、貯蓄を後回しにしてきた
・収入が増えるたびに、住居費や保険料などの固定費も同じペースで増やしてきた
・「老後も働けば何とかなる」と考え、健康リスクを現実的に見ていなかった
こうした積み重ねにより、貯蓄が十分に貯まらないまま定年を迎えてしまいます。現役で働けているうちは、収入があるため問題が表面化しにくいのですが、老後はそうはいきません。
老後の基盤となる年金収入は限られていますが、予測できない出費が確実に増えていきます。例えば、自分自身や家族の医療費や介護費、家電の買い替え、住宅の修繕費、家賃の負担などが挙げられます。どれも「起きない前提」で生活設計を立てることができないものばかりです。
貯蓄は、こうした出来事に備えるための資金です。もし十分でない状態で老後を迎えると、少しのアクシデントでも家計が一気に崩れます。「働けばいい」ですが、体力低下などで思うような収入が得られなければ、支出ばかりとなり、老後破産へ直結しやすくなるのです。
3つの「チャンス」を逃さず、仕組みを作る!
老後破産を防ぐには、人生に訪れる「3つの貯めどき」をとらえ、先取り貯蓄を仕組みとして組み込みましょう。先取り貯蓄とは、「収入が入ったら、使う前に貯蓄分を別枠に移す方法」のこと。「収入-貯蓄=生活費」という順番に変えるだけで、意志の強さに頼らず、お金が自然に残る状態を作れます。貯めどきは、その人のライフスタイルによってさまざまです。一例として、以下のような人生に訪れやすい「3つの貯めどき」を紹介します。子育ての有無にかかわらず、自分の状況に近いタイミングに置き換えて考えてみてください。
【第1のチャンス 固定費が少なく身軽な時期(独身時代など)】
固定費が少なく、生活の自由度が高い時期です。ここで先取り貯蓄の習慣を身につけられるかどうかが、その後の人生を大きく左右します。「毎月必ず貯める」という行動を定着させることを目的にしましょう。
【第2のチャンス 世帯収入が増えやすい時期(共働き・子育て前など)】
もし共働きであれば世帯収入が最大化する時期です。先取り貯蓄を続ければ、加速度的にお金を貯めることができます。生活水準を一定に管理して、教育費と老後資金の両方の土台を作りましょう。
【第3のチャンス 支出が落ち着き、老後が現実的になる時期(子育て後・定年前など)】
教育費のピークを越え、老後が現実的に見えてくる時期です。ここは老後資金を積み増す「ラストスパート」。収入があるうちに固定費を見直し、老後仕様の家計へ切り替える準備期間でもあります。
なお、これらの時期をすでに過ぎてしまったからといって、手遅れになるわけではありません。どの年代においても大切なのは、完璧な金額を目指すことではなく、少額でも自動的に貯まる仕組みを持つことです。
「今はまだ先」と考えず、「今が貯めどきだ」と自覚して動けるかどうか。その小さな行動の積み重ねこそが、老後破産という未来を遠ざける、もっとも現実的で確実な対策です。








