そこで今回は、“一生貧乏になりやすい時間の使い方”と、“豊かな老後をつくる時間の使い方”を、分かりやすく紹介します。
一生貧乏コースに陥る「受け身な時間の使い方」
老後に時間を持て余すと、「人に会うのはおっくうだし、お金がかかるから」と考え、家にこもりがちになる人がいます。やることがないからといって、惰性でテレビやスマホを長時間見ていると、知らず知らずのうちに心のエネルギーと財布を細らせていく原因になります。●「暇つぶし」と「受け身消費」によって悪循環に!
老後、時間を持て余すに人に限って、以下のような事柄に時間とお金が静かに消えていく傾向があります。
・受動的な消費って何
通販番組を長時間眺めているうちに「ついポチッと」買い物をする。また、SNSで見かけた商品が欲しくなり、ネットショッピングで気が付くと購入している。
・無意味な出費って何
たまに外出したときの「ちょい買い」や、コンビニでの「つい買い」など、目的のない消費がある。
・隠れたコストがかさむ……
一日家にいることで、冷暖房費や電気代、間食費といった光熱費・食費が想定以上にかさむ。
なぜ心も財布も寂しくなるのか?
これらの支出は一回ごとの金額が小さいため、当人に「ムダ遣いをした」という自覚がありません。ここに、一生貧乏コースに陥る人の大きな落とし穴があります。彼らは「自分はぜいたくをしていないのに、なぜかお金が減る」と感じます。その結果、「やはり収入(年金)が少ないから貧乏なんだ」という不満や諦めにつながってしまうのです。
このように、貧困感は収入の低さからではなく、自覚のない支出が生み出していることも多くあります。さらに深刻なのは、時間の使い方に目的がないことです。目的がない生活は気力・体力・意欲を削ぎ、孤独感を深めます。その結果、「お金を使いたい」という人生を楽しむための前向きな意欲すら失われ、寂しさが募る悪循環に陥ってしまうのです。
豊かな老後をつくる「主体的な時間の使い方」
老後の暮らしは、時間の自由度が高いぶん「どう過ごすか」で満足度が大きく変わります。そして、その時間の使い方も、実は“ほんの少しの見直し”で生き生きと変わり始めます。例えば、70代男性Aさんの場合。最初は町内会の班長を「頼まれたから」なんとなく引き受けただけだったそうです。ところが、それが自治体の広報ボランティアに参加するきっかけとなり、同年代の仲間が増え、孤独感が薄れていったとのこと。受け身で始まった役割が、「人との関わりが生活のリズムをつくる時間」へと自然に変化していきました。
また、スマホが苦手だった65歳女性Bさんは、思い切って自治体が開催するスマホ教室に参加。そこで学んだことを活かしてInstagramに手芸作品を投稿したところ、同じ趣味の仲間ができました。さらに、散歩で見つけた草花の写真を投稿するうちに園芸仲間もでき、「知らない世界がどんどん広がっていく」という楽しさを感じられるようになったそうです。
●時間の使い方がどう良くなっていったのか
この2人に共通しているのは、どちらも大きな挑戦をしていないこと。
・地域の役割を1つ引き受けただけ
・スマホ教室に少し参加しただけ
それにもかかわらず、「人とのつながりが生まれる→行動が増える→新しい楽しみができる」という好循環が自然に育っていきました。
小さな一歩が、「なんとなく過ごす時間」から、「主体的に楽しむ時間」へと変わっていったのです。
●少しの変化で、なぜ豊かになるのか?
この“主体的に過ごす時間”が増えれば、これからの人生後半に、次の3つの“資産”を増やすでしょう。
・社会とのつながり
孤立を防ぎ、会話や刺激が増えることで毎日に活気が生まれる。
・心理的な満足感
「自分の役割がある」という感覚が前向きさを取り戻し、心が安定する。
・心地よい日常のリズム
生活が整い、外出や買い物にもメリハリがつくため、ムダな出費も減っていく。
受け身の「暇つぶし時間」は、気力もお金もじわじわ削っていきます。一方で、主体的な「目的のある時間」は、人生の豊かさを育て、日々の満足度を底上げしてくれます。
まとめ
老後に与えられる時間は、誰にとっても同じ1日24時間です。けれど、その時間を “何のために使うか” で、毎日の質はまったく変わります。一生貧乏コースに陥る「受け身な時間の使い方」は、お金も心のエネルギーも奪うだけです。しかし、豊かな老後をつくる「主体的な時間の使い方」を選べば、結果として人とのつながりが生まれ、新しい楽しみが増え、生活に張り合いが出てくるでしょう。








