定年・退職のお金

一生貧乏な人の「老後の交際費・娯楽費」って?金持ち体質の人との違い

老後に欠かせない「交際費」と「娯楽費」ですが、その使い方によって、気持ちにゆとりを持って生活できる人もいれば、「いつもお金が足りない……」「損した」と感じてしまう人もいます。今回は、一生貧乏になりやすい人、豊かに暮らせる人のお金の使い方を紹介します。※画像:amanaimages

舟本 美子

舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金 ガイド

おひとりさまのお金の貯め方・使い方、老後を自分らしく暮らすためのアドバイスをします。また、一生涯、ペットと共生するための情報、開運術をお届けします。

プロフィール詳細執筆記事一覧
シニア期は、現役時代よりも時間にゆとりが生まれ、人付き合いや趣味にどうお金を使うかで、暮らしの満足度が大きく変わります。

老後に欠かせない「交際費」と「娯楽費」ですが、その使い方によって、気持ちにゆとりを持って生活できる人もいれば、「いつもお金が足りない……」「損した」と感じてしまう人もいます。今回は、一生貧乏になりやすい人、豊かに暮らせる人のお金の使い方を紹介します。
一生貧乏な人の「老後の交際費・娯楽費」の使い方って?※画像:amanaimages

一生貧乏な人の「老後の交際費・娯楽費」の使い方って?※画像:amanaimages

老後の生活費の約2割!「楽しみ」にかかるお金の平均額

定年後は働き方が変わり、家や地域で過ごす時間が長くなります。その分、心の充実や日々の楽しさを生むための「交際費」と「娯楽費」は、削ってはいけない大切な予算です。
 
総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、高齢無職世帯の平均支出は以下のようになっています。

【65歳以上の夫婦のみ無職世帯】
・交際費:約2万3888円(消費支出の9.3%)
・娯楽費:約2万5377円(消費支出の9.9%)
・合計:約4万9265円(消費支出の19.2%)
 
【65歳以上の単身無職世帯】
・交際費:約1万6460円(消費支出の11.0%)
・娯楽費:約1万5492円(消費支出の10.4%)
・合計:約3万1952円(消費支出の21.4%)

総務省統計局の「家計調査報告」では、例えば「交際費」に香典や贈答品など世帯外への移転支出が含まれ、「教養娯楽費」として書籍・教養費等も含まれるため、日常の“交際費”“娯楽費”という使い方とは必ずしも一致しません。

ここでは、統計データを“老後の生活費の大まかな目安”として参考にしつつ、記事の後半ではより生活に近い意味での「交際費」「娯楽費」を取り上げています。

一生貧乏コース?「寂しさ」を埋める受け身の出費

同じ金額を使っているように見えても、「幸せにつながるお金の使い方」と「なくなるだけの浪費」では、その後の満足度がまったく異なります。一生貧乏になりやすい人の共通点は、自分の意思ではなく“受け身で使ってしまうお金が多い”ことです。
 
例えば、こんな人いませんか?

「こんなこと言うのもアレだけど……」という前置きから始まり、先日参加した食事会のグチが止まらない人。「料理はイマイチだったのに会費が高くて」「自慢話ばかり聞かされて疲れた」と不満ばかり。また、旅行の話でも「誘われたし、断ると角が立つから行ったけど、気疲れして翌日寝込んじゃった」とため息をつく人。

「そんなに嫌なら、参加しなければいいのに……」と思ってしまいますが、当の本人は「断れない呪縛」から抜け出せずにいるのです。こうした「受け身の出費」は、大きく「交際費」と「娯楽費」の2つに現れます。

●交際費:自分の気持ちよりも、相手の反応を気にしすぎる
・気乗りしない飲み会:「付き合いが悪いと思われたくない」と無理に参加する。
・惰性の贈り物:何十年も続けているお中元やお歳暮を、やめるタイミングを失って続けている。
・孫や親戚への過剰な出費:「お金を出さないと来てくれないかも」という不安から、身の丈以上のお祝いや小遣いを渡してしまう。

●娯楽費:「暇つぶし」に消えていく
・テレビ通販の衝動買い:特に欲しくないのに、番組を見ているうちになんとなく注文してしまう。
・目的もないのにぶらぶら:「暇つぶし」のつもりでショッピングセンター、パチンコ店などに立ち寄ってしまう。

●なぜ、お金を使っても満たされないのか?
これらの出費に共通しているのは、「主役が自分ではない」ということです。交際費においては、「自分が会いたいから」ではなく「相手の期待に応えるため」にお金を使っています。娯楽費においては、「楽しみたいから」ではなく「時間の空白を埋めるため」だけ。
 
自分の「好き」や「心地よさ」が置き去りになっているため、いくらお金を使っても心は満たされず、後に残るのは「むなしさ」と「減った残高」への後悔だけ。これが、心もお財布も寂しくなってしまう「一生貧乏コース」の正体なのです。

豊かに暮らす人のお金の使い方:自分軸の「好き」を知っている

豊かに暮らす人は、交際費や娯楽費を「義務」や「暇つぶし」ではなく、“自分が心地よく暮らすための潤滑油”として使っています。

例えば、生き生きと暮らすAさん(70代)は、笑顔でこう話します。

「仲良しグループで月1回、麻雀をするのが楽しみ。お金は賭けず、わいわいとゲームを楽しむだけ。その代わり、みんなで得意料理やおいしいお菓子を持ち寄って、休憩時間にいただくのが最高に幸せです。『今度はどんなお料理を持っていったら喜ばれるかしら?』と考えるのが楽しくて、最近は料理番組やYouTubeの動画をチェックして、いろいろなレシピにトライしています」。
 
Aさんのように、豊かに暮らす人は「お金をたくさん使う」ことではなく、「工夫して楽しむ」ことに喜びを見出しています。

自分軸を持っている人のお金の使い方は、交際費と娯楽費において以下のような傾向があります。

●交際費:「自分が本当に会いたいか」「その場を楽しめるか」
・趣味の仲間との交流:ハイキングや手芸、読書会など、共通の話題があるサークル後のランチ代。
・前向きな情報交換:健康づくりや新しい学びについて語り合える友人との喫茶代。

ここでは「好き」を共有することが目的なので、見栄を張って無理におごったりする必要がありません。価値観が合うため、お金をかけ過ぎなくても、対等で心地よい関係が続きます。

●娯楽費:「好奇心」を満たすため
・体験へ使う:行ってみたかった場所への旅行、美術館巡り、映画鑑賞。
・健康へ使う:長く歩ける体を維持するためのウオーキングシューズや、フィットネス利用料。
・学びへ使う:歴史講座やパソコン教室など、知的好奇心を満たすものに使う。

●なぜ、お金を使うほど幸せになるのか?
豊かに暮らす人に共通しているのは、基準が他人の目ではなく、「自分が本当に楽しめるかどうか(自分軸)」に置かれていることです。
 
「付き合いだから」と嫌々出す1万円と、「行きたかったから」と喜んで出す1万円。金額は同じでも、心の満足度は天と地ほどの差があります。自分軸で使ったお金は、後に「楽しかった!」「勉強になった!」という充実感を残し、それが「明日も元気に過ごそう」という活力に変わります。
 
使ったお金が、ただ消えるのではなく、「思い出」や「健康」「知識」という見えない資産として積み上がっていく。これが、豊かに暮らす人が持っている好循環の正体です。

老後の交際費・娯楽費は「使い方」が全て

老後の満足度を決めるのは、そのお金を“どう使うか”。限られた予算で、自分が本当に心地よいと感じる人間関係や、ワクワクできる時間に使えば、生活の質はぐっと豊かになります。
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2025/11/30まで)を実施中です!

※抽選で20名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や投資行動を推奨するものではありません。
投資や資産運用に関する最終的なご判断はご自身の責任において行ってください。
掲載情報の正確性・完全性については十分に配慮しておりますが、その内容を保証するものではなく、これに基づく損失・損害などについて当社は一切の責任負いません。
最新の情報や詳細については、必ず各金融機関やサービス提供者の公式情報をご確認ください。

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます