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「年金が少なくて不安…どうすればいい?」社会保障制度・自治体による助成・就労支援のまとめ一覧

この先、年金だけで暮らしていけるのか……と不安を感じるときは、どうすればいいのでしょうか。今回は、シニア世代が安心して暮らすための社会保障制度や自治体による助成、就労支援のフル活用術をまとめて紹介します。※サムネイル画像:amanaimages

舟本 美子

舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金 ガイド

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さまざまな理由で年金が少なく、「この先、年金だけで暮らしていけるのか」と不安を感じている人は多いかもしれません。そんなときに大切なのは、悩んだり落ち込んだりすることではなく、利用できる支援制度や仕組みを知ることです。

今回は、シニア世代が安心して暮らすための社会保障制度や自治体による助成、就労支援のフル活用術をまとめて紹介します。
年金が少ない…。でも大丈夫! 社会保障制度・自治体による助成・就労支援のフル活用術※画像:amanaimages

年金が少ない…。でも大丈夫! 社会保障制度・自治体による助成・就労支援のフル活用術※画像:amanaimages

まずは知っておきたい!シニア向け支援制度

国や自治体による高齢者向けの支援制度は数多くあります。ここでは、知っておきたい代表的な制度をご紹介します。

●高齢者向けの社会保障制度
年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金は、年金とその他の収入が一定以下の人を対象に、年金に上乗せして支給される給付金です。老齢・障害・遺族基礎年金の受給者それぞれに支給要件があります。

例えば「老齢年金生活者支援給付金」は、65歳以上で老齢基礎年金を受給し、同一世帯全員が住民税非課税で、前年の収入が約90万円以下の方が対象です。収入がそれをやや上回る人には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

高額療養費の自己負担額が減る:
高額療養費制度は、1カ月の医療費が一定額を超えた場合に、超過分が払い戻される仕組みです。入院や手術、治療費が対象で、食事代や差額ベッド代などは除かれます。上限額は年齢と所得に応じて決められています。所得が少ない場合は、上限額が抑えられます。

介護保険料の負担が減る:
65歳以上の介護保険料は所得水準ごとに軽減されます。介護保険料の運営を行っている自治体ごとに減免措置の要件や内容が異なりますので、確認しましょう。

高額介護サービス費の自己負担額の軽減:
介護サービスの利用料は、所得に応じて月ごとの自己負担限度額が定められています。要介護認定を受けた人は、通常1割(所得により2~3割)を負担しますが、支払いが限度額を超えた場合、「高額介護サービス費」として超過分が払い戻されます。毎月の介護費が負担となる場合も、この制度を活用することで負担を減らすことができます。

●自治体が行う高齢者向け助成
シルバーパスなど高齢者交通費助成:

東京都が行う70歳以上の方向けの「シルバーパス」は、年間1000円または1万2000円(所得により異なる)で都内のバス・地下鉄がほぼ乗り放題になる制度です。

似たような助成として、名古屋市では「敬老パス」、大阪市では「敬老優待乗車証(敬老パス)」があります。このような「高齢者交通助成制度」は多くの自治体で実施されており、家計負担を軽くしつつ、高齢者の外出機会を増す手段になります。

高齢者見守り支援サービス:
多くの自治体では、高齢者の一人暮らしを支える「見守り支援事業」が行われています。

例えば、立川市では、70歳以上を対象に、緊急時に家族や知人へ自動通報できる「見守り機器」の設置費用を市が一部助成しています。もしものときに備えた安心の仕組みで、高齢者の在宅生活をサポートします。

家電購入・省エネ補助金:
自治体によっては、省エネ性能の高い家電を購入すると補助金が受けられる制度があります。

例えば東京都の「ゼロエミポイント制度」で、満65歳以上の都民や障がい者手帳を持つ方が対象の場合は、省エネ型エアコンを購入すると最大8万円分のポイント(値引き)が受けられます。

このような補助制度を活用すれば、初期費用を抑えつつ電気代の節約にもつながり、暮らしの負担を軽くすることができます。

このように、自治体の助成や給付制度は、少し暮らしをラクにできるさまざまなものがあります。「自分には関係ない」と思わず、まずは自治体のホームページや窓口で調べてみましょう。

“ゆるく働いて”収入の柱を維持する

高齢になると「もう体力もないから働けない」「年金だけで何とかしよう」と思うかもしれません。しかし、現役時代のようにフルタイムで働くのではなく、無理のない働き方で、収入を少しでも確保することを考えてみましょう。

週2~3日、1日数時間だけでも収入を得ることができれば、心の張り合い、安心感につながります。シニアの“ゆるく働く”を応援する制度や仕組みはいくつもあります。

シルバー人材センターを活用する
全国のほとんどの自治体にある「シルバー人材センター」では、60歳以上なら誰でも登録可能です。体力や希望に合わせて、事務サポート、清掃、植木の手入れ、子どもの見守りなど、短時間でできる仕事を紹介してもらえます。

報酬の平均は月4万~5万円ほどですが、収入だけでなく、「人とのつながりができる」「生活リズムが整う」など、精神面のメリットも大きいのが特徴です。

※登録は各市区町村のシルバー人材センター窓口で受け付けています。

●ハローワークの「生涯現役支援窓口」を活用
60歳を過ぎて、仕事に就きたいと考えている方は、ハローワークの「生涯現役支援窓口」を活用しましょう。生涯現役支援窓口では、シニア世代を対象にした職業相談や仕事紹介を無料で行っています。

企業側も、高齢者の体力やライフスタイルを理解して、「無理なく、経験を生かせる」よう柔軟な働き方を検討してくれることも多いようです。

例えば、
・週3日だけ働きたい
・午前中だけ勤務したい
・自宅近くで短時間パートを希望したい
といった希望を、ダメだと思わず、ハローワークの担当者に伝えてみましょう。

支援を受ける勇気を持つ:生活保護制度の概要

どんなに節約しても、病気や予期せぬ出費で生活が厳しくなることがあります。そんなときは、ためらわずに公的支援に頼る勇気を持つことが大切です。

生活保護制度」は、経済的に困窮した人が「健康で文化的な最低限度の生活」を維持できるよう支援する国の制度です。生活費や家賃、医療費、介護費、就労支援、葬祭費など、生活状況に応じた8つの扶助が用意され、必要に応じて支給されます。

厚生労働省の調査によると、生活保護を受ける世帯の約55%が高齢者世帯。誰にでも起こりうることです。申請や相談は、市区町村の「福祉課」や「生活支援課」、または地域包括支援センターで受け付けています。1人で悩まず、まずは相談してみましょう。

頼れる制度を知り、行動へ

年金が少なくても、「支援制度の活用」と「無理のない就労」の2本の柱で生活の不安は大きく解消できます。情報を知り、ためらわずに公的支援に頼る勇気を持つことが、安心して生きる力につながるでしょう。
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