食と健康

Q. 「子どもに銀杏を食べさせると命にかかわる」って本当ですか?

【管理栄養士が回答】「子どもに銀杏を食べさせてはいけない」という説には、科学的根拠があります。かつては死亡率が秋の味覚の裏にある意外な理由と、安全な食べ方のポイントをご紹介します。

平井 千里

平井 千里

管理栄養士 / 実践栄養 ガイド

小田原短期大学食物栄養学科 教授。女子栄養大学栄養科学研究所客員研究員。女子栄養大学大学院 博士課程修了。名古屋女子大学 助手、一宮女子短期大学 専任講師を経て大学院へ進学。肥満と栄養摂取の関連について研究。前職は病院栄養科責任者(栄養相談も実施)。現在は教壇に立つ傍ら、実践に即した栄養情報を発信。

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Q.  「子どもに銀杏を食べさせると命にかかわる」って本当ですか?

子どもとぎんなん

「子どもは銀杏を食べない方がいい」というのは、科学的にも本当でしょうか?


Q. 「秋になると銀杏を食べる機会が増えますが、小さな子どもには食べさせない方がいいのでしょうか? 先日、義母から『子どもに銀杏を食べさせたら命にかかわる』と言われ、不安になりました。アレルギーなどはないのですが、茶碗蒸しに入っているような小さなものでも危ないのでしょうか?」
 

A. 過去には大人でも死亡例が。小さな子どもは銀杏中毒を起こしやすく、食べさせない方が安全です

銀杏(ぎんなん)には「4-O-メチルピリドキシン」という毒性成分が含まれています。大人も食べ過ぎはよくありませんが、特に子どもはこの物質に対して感受性が高いとされているため、注意が必要です。

4-O-メチルピリドキシンはビタミンB6と似た構造をしています。そのため、体内でビタミンB6がすべき働きを妨げてしまい、けいれんや嘔吐、下痢、呼吸困難などの中毒症状を引き起こすことがあるのです。

日本国内においては、過去のデータで、銀杏中毒の死亡率は「約13%」(170例中22例が死亡)という報告があります。この数値は戦後などの栄養状態がよくない時期のもので、栄養状態の改善にともない、発症数や死亡数は減少してきました。1969年以降は死亡例の報告はないため、過度に心配する必要はありません。しかし子どもは大人よりも代謝機能が未熟なため、わずか1~2個でも中毒を起こすリスクがああることは事実です。近年でも、銀杏を数個食べただけの幼児がけいれんを起こした事例も報告されています。

茶碗蒸しに入っている銀杏は、加熱されているので安全と思われるかもしれませんが、加熱しても銀杏の毒性は完全には消えません。炒り銀杏なども同様に、「火を通せば大丈夫」とは言い切れないのです。

銀杏を子どもに与える場合は、食べ過ぎは厳禁です。しっかりと親の目が届く場所で、1~2粒程度のごく少量にとどめましょう。できれば代謝機能が発達するまでは、小さな子どもには食べさせない方が安全です。

さらに詳しく知りたいかたは、「銀杏の栄養素と効能……食べ過ぎは銀杏中毒になる危険も? 安全に食べられる適量は何個までか」をあわせてご覧ください。

■参考
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