プラド美術館の魅力徹底解剖
カルロス3世の命で1785年に自然科学展示場として設計された、歴史あるプラド美術館。外観からも、スペインが誇る世界有数の美術館であることがうかがえます。1819年にわずか311点の王家のコレクション絵画でオープンしましたが、今では約3万5000点もの作品を擁し、1300点も常時展示されています。年間250万人もの人々が訪れる、スペインきっての名所の1つです。プラド美術館の混雑状況、入場料や予約について
夏場の観光シーズンは入館に若干並ぶこともありますが、大抵スムーズに入館できます。絶対に並びたくない方は公式サイトから予約ができますが、手数料が0.50ユーロかかります。閉館時間の30分前まで入場可能なので、時間に余裕をもって行きましょう。また嬉しいことに月~土曜の18~20時、日曜、祝日の17~19時は入場無料! ただ観光地には、薄暗い時間に旅行者を狙ったスリなどもいるものなので、十分気を引き締めて行きましょう。
このプラド美術館には、スペイン王室に関わる絵画や16~17世紀のスペインの内情を描いた作品をはじめ、フランドル派、イタリア絵画などヨーロッパの他国の絵画も展示されているので、様々なタッチの絵画があり見飽きません。しかし3階にもまたがる広大な館内の絵画を一つ一つ見ていては、時間もエネルギーも消耗してしまい、肝心な絵画を見逃す危険性も……。そこで、プラド美術館でこれだけは見逃せないという絵画をチェックしていきましょう。
プラドで押さえたい注目画家ベラスケス
プラド美術館で最も有名な作品とも言えるのが「ラス・メニーナス(女官たち)」。17世紀に活躍した国王フェリペ4世に就いた宮廷画家ディエゴ・ベラスケスの作品です。マルゲリータ王女を中心にした家族の肖像画で、ベラスケス自身も描かれています。美術愛好家の国王に可愛がられ、画家としては珍しく王の側近という地位を与えられていたベラスケスのみぞ知る、王家の様子が垣間見られるでしょう。後にピカソがこの絵画を独自のタッチで真似たことでも話題に。ピカソ版ラス・メニーナスはバルセロナのピカソ美術館に展示されています。ベラスケスの作品でもう1つ見ておきたいのが「ブレダの開場」。1625年にスペインが現在のオランダ、ルクセンブルク、ベルギーであるネーデルラントとの戦いに勝利したのを記念して、王の広間と呼ばれる王室のサロンに飾るために描かれた作品。膝まずいた敗者の肩に手を当てたスペイン軍総司令官の寛容で勇ましい姿が強調されています。
もう1つは「バッカスの勝利」。宮廷の堅苦しい絵画が多いベラスケスに珍しい神話画。ワインの神様バックスと酒盛りをしている酔っ払い農民たちを描いた微笑ましい作品です。スポットライトを浴びるように輝くバックスは、イタリアの巨匠カラバッジョを意識したタッチで描いたとか。