プラドで押さえたい注目画家ゴヤ

1808年5月3日

最後は亡命先のフランスで生涯を閉じた波乱万丈な一生を送ったゴヤ

ベラスケスと並んでスペインを代表する偉大な画家ゴヤの作品も見逃せません。ゴヤも長い下積み生活を経て、カルロス4世に仕えた宮廷画家。しかし後に聴力を失い、次第に社会批判の風刺へ傾倒していきました。プラド美術館では、そんなゴヤの人生を作品を通して眺めることができます。

注目の作品は「マドリード1808年5月3日プリンシペ・ピオの丘での銃殺」。フランスによるスペイン征服に対する反乱への報復として、銃殺される風景を描いた衝撃的な作品です。今まさに銃殺されようとしているマドリッド市民にスポットライトが当たっており、その表情が切なく心に響きます。この作品を見ればスペインとヨーロッパの歴史にも興味が湧くかもしれません。

もう1つは「裸のマハ」「着衣のマハ」という女性をモデルに描いた油絵。同じポーズをとった同じモデルの裸のものと着衣したものの2つの作品があり、裸のものは、西洋美術で初めて女性の陰毛を描いた作品だと言われており、当時裁判沙汰の大問題になったそう。そこで話題になったのがこのモデルの女性ですが、ゴヤは裁判でもモデルについて明かさなかったので、この女性が誰なのか様々な憶測が飛び交い映画にもなったくらいです。

次に見ておきたいのは1777年に描かれた「日傘」。ゴヤが宮廷画家になる前にタピスリー工場で原画の画家として活動していた初期の作品。子犬を膝に乗せ、華やかな衣装を身につけた若い女性の後ろで男性が日傘をあてがっている、明るく生命力溢れる絵画です。「我が子を喰らうサトゥルヌス」などの後期の作品とあまりにも異なり、同じ人物が描いたと思えません。

ゴヤを代表する作品とも言われているのが「カルロス4世の家族」。ベラスケスの「ラス・メニーナス」を意識した作品だそう。画面中央の王妃が当時実質的な実権を握っていたということが言われずとも分かるような、表情の描写が素晴らしい。ゴヤ自身も左奥に密かに描かれています。

最後は1820年ごろに描かれた「我が子を喰らうサトゥルヌス」。こちらは、ローマ神話をモチーフにしたちょっとホラーな絵画。農耕の神サトゥルヌスが子に王座を奪われると聞いて次々我が子を食べ殺すという恐ろしい風景。自身の別荘の食堂の扉に壁画として描いたそうです。