今回は、そんな“これからの老後”を前向きに築くための3つのポイントを見ていきましょう。
過去を悔やむより「これからを考える」
「もっと早く貯めておけばよかった」と感じるのは自然なことです。しかし、後悔しても状況は変わりません。大切なのは、今から「何を整えられるか」を考えることです。老後資金が十分でない人の多くは、これまで“目の前のことを優先する生き方”をしてきたのではないでしょうか。
ただこれからは、少しだけ視点を長く持ってみましょう。例えば「5年後、10年後、どう暮らしていたいか」を思い描くことから始めましょう。先々を見据えた判断ができるようになると、行動の質が変わります。“老後資金がない”という現実を責めるよりも、「ここから積み重ねていけばいい」と気持ちを切り替えることから、暮らしを立て直していきましょう。
現役時代の金銭感覚を捨て「年金に見合う支出」に整える
老後に入ると、収入の柱は年金が中心になります。現役時代と比べると、手取りが5~7割に減る人も多く、「以前と同じ感覚」でお金を使っていると、すぐに赤字家計になりかねません。まずは、生活費を年金内で賄うことを目標に、家計のコンパクト化を意識しましょう。住まい、食費、通信費、保険料などを見直し、固定費を少しずつ軽くすることがカギです。
また、働けるうちは「週数日だけの仕事」や「短時間の在宅ワーク」など、無理のない形で長く働ける収入源を確保しておくと安心です。
お金の“出入りの見える化”を意識すると、漠然とした不安は次第に薄れていきます。支出を整えることは、老後の暮らしを守るだけでなく、「自分を取り戻す作業」でもあるのです。
小さなチャレンジで「楽しみとつながり」を増やす
老後の時間を豊かにするのは、「趣味などの楽しみ」と「人とのつながり」です。例えば、地域の公民館で行われる講座や、ボランティア活動、図書館のイベント、オンラインでの趣味サークル。さらに、ウオーキング仲間をつくる、俳句や写真を学ぶ、市民農園で季節の野菜を育てる……。
どれも、日々にハリを与え、人との自然な関わりを生むきっかけになります。
これらの活動は、どれもあまりお金がかかりません。十分な楽しみが得られ、気持ちが前向きになります。好奇心を持って「やってみよう」と動くことが、老後の暮らしをいきいきと彩ってくれます。