定年・退職のお金

老後に十分な貯金がない人の対策は?気が付いた時からやっておきたいこと3つ

人生100年時代。長い老後を安心して過ごすためには、貯金がどれだけいるかが気になるものです。しかし現実には、「思ったように貯められなかった」という人も。今回は、最新のデータをもとに現状を見つめながら、現役時代からできる3つの工夫を紹介します。※画像:amanaimages

舟本 美子

舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金 ガイド

おひとりさまのお金の貯め方・使い方、老後を自分らしく暮らすためのアドバイスをします。また、一生涯、ペットと共生するための情報、開運術をお届けします。

プロフィール詳細執筆記事一覧
「このままで老後は大丈夫かな」そんな不安を感じたことがある人は多いのではないでしょうか。人生100年時代。長い老後を安心して過ごすためには、貯金がどれだけいるかが気になるものです。しかし現実には、「思ったように貯められなかった」という人も。では、老後資金が十分でない場合、どう備えていけばいいのでしょうか。

今回は、最新のデータをもとに現状を見つめながら、現役時代からできる3つの工夫を紹介します。
老後に十分な貯金がない人の対策は?現役時代からやっておきたいこと3つ※画像:amanaimages

老後に十分な貯金がない人の対策は?現役時代からやっておきたいこと※画像:amanaimages

60代、老後に十分な貯金がない人はどのくらい?

金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」によると、60代の単身世帯のうち、「27.7%」が金融資産を保有していないと回答しています。また、二人以上の世帯でも「20.5%」がゼロと答えています。

さらに、金融資産が100万円未満の世帯も、単身で「8.9%」、二人以上で「6.5%」。老後に対する備えが十分でない世帯が約3~4割いることが分かります。

ただし、金融資産非保有の世帯というのは、預貯金の合計残高が全くないわけではありません。この調査における「金融資産」は『運用または将来に備えて蓄えている部分とし、日常的な出し入れに備えた部分は除く』としているため、運用や将来の備えがゼロという世帯を指します。

一方で、金融資産が3000万円以上を保有している世帯も単身で「16.8%」、二人以上で「20%」。全体の約2割存在します。

また、平均貯蓄額は単身で「1679万円」、二人以上世帯で「2033万円」ですが、中央値(実態に近い数値)は単身で「350万円」、二人以上世帯で「650万円」。

こうした数字を見ると、「お金が多い人がうらやましい」と思ってしまうかもしれません。

お金が貯まらなかった=失敗ではない

老後の貯蓄が少ないからといって「今までのやり方が間違っていた……」と落ち込む必要はありません。なぜなら、貯金が少ない分だけ“経験という資産”を積み上げてきた可能性があるからです。

例えば、
・旅行や趣味にお金を使った→心に残る思い出が財産になる
・子育てや家族に使った→支え合える絆が残る
・学びや人付き合いに使った→視野が広がり、人生の厚みが増す

 
お金は形として残らなくても、こうした“無形の資産”が人生の中に息づいています。これまでを「失敗」と決めつけるのではなく、「何を得てきたか」「今後どう生かすか」という視点に立つことで、これからの人生をより前向きに整えることができます。

今からできる、老後に向けた3つの備え

不安を感じたときこそ、できることから一歩ずつ整えていくのが安心への近道です。今日から始められる3つのポイントを見てみましょう。

●老後に受け取る年金を正しく知る
まずは、自分が将来いくら年金を受け取れるのかを把握しておきましょう。「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を使えば、将来の見込み額を簡単に確認できます。

受け取れる金額を知ることで、理想の生活費との差が明確になり、足りない分をどう補うかの計画が立てやすくなるでしょう。

また、年金だけで生活を賄うのが難しい場合は、固定費の見直しが効果的です。

固定費とは、家賃・通信費・保険料・光熱費・サブスクリプションサービス(定額サービスの支払い)など、毎月かかる“決まった出費”のことです。スマホプランを見直したり、保険を整理したりするだけで、月に数千円、年間では数万円単位の節約になることもあります。一度見直すと効果が長く続くので、「がんばらない節約」としておすすめです。

●自分に合った働き方を考える
年金だけで足りない分は、働き方を工夫して補いましょう。「週3日だけ働く」「在宅で無理なく続ける」など、今はシニア世代にも選択肢がたくさんあります。

その際、ハローワークで行われているシニア向けの就職相談や、再就職支援を積極的に活用しましょう。長く仕事を続けることは、収入を得るだけでなく、人とのつながりや生活リズムの維持にもなり、心身の健康にもよい影響を与えてくれます。

●健康を“最大の資産”として守る
医療費や介護費がかかるようになると、老後の家計に大きく影響します。そう考えると、健康維持こそ最大の節約といえます。

例えば、1日15分のウオーキングやストレッチ、栄養バランスを意識した食事、定期的な健康診断など、健康維持につながる小さな習慣を重ねましょう。病気のリスクを減らし、将来の医療費を抑えることができます。「お金を貯める」のと同じように、「健康を貯める」意識を持つことで、心にも家計にも余裕が生まれます。

まとめ

老後資金が思うように貯められなかったとしても、「これからどう整えるか」は、いつからでも遅くありません。お金の準備だけにとらわれず、年金・働き方・健康という3つの軸をバランスよく整えることが、老後を安心して過ごすためのカギです。
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2025/10/31まで)を実施中です!

※抽選で20名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や投資行動を推奨するものではありません。
投資や資産運用に関する最終的なご判断はご自身の責任において行ってください。
掲載情報の正確性・完全性については十分に配慮しておりますが、その内容を保証するものではなく、これに基づく損失・損害などについて当社は一切の責任負いません。
最新の情報や詳細については、必ず各金融機関やサービス提供者の公式情報をご確認ください。

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます