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Netflix『今際の国のアリス』シーズン3がついに配信!佐藤監督が「完全オリジナル物語」にした理由とは

Netflixシリーズ『今際の国のアリス』シーズン3が9月25日より配信! 佐藤信介監督のインタビューとともに、シーズン1、2のあらすじ、最新作の注目ポイントについて紹介します! ※画像:©麻生羽呂・小学館/ROBOT

斎藤 香

斎藤 香

映画 ガイド

フリーランスライター。芸能誌、映画誌の編集者を経て、現在、映画を中心にWEB、紙媒体などで取材執筆活動中。インタビュー経験も多数あり。

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『今際の国のアリス』シーズン3がいよいよ配信開始! ※画像:©麻生羽呂・小学館/ROBOT

『今際の国のアリス』シーズン3がいよいよ配信開始! ※画像:©麻生羽呂・小学館/ROBOT

Netflixの大人気シリーズ『今際の国のアリス』シーズン3が2025年9月25日より配信されます! シーズン1、2のあらすじと最新作の注目ポイントについて、佐藤信介監督へのインタビューとともに紹介します。
<目次>

『今際の国のアリス』とは

今際の国のアリス シーズン3

©麻生羽呂・小学館/ROBOT

Netflixシリーズ『今際の国のアリス』は、麻生羽呂の同名漫画の実写シリーズ化作品。原作は、2010~2016年まで『週刊少年サンデーS』『週刊少年サンデー』(小学館)で連載され、人気を博したコミックス。その実写化を手掛けたのは『図書館戦争』『GANTZ』『キングダム』シリーズなどを手掛ける佐藤信介監督。

『今際の国のアリス』のシーズン1は2020年に配信がスタート。世界70以上の国と地域でTOP10入り、海外レビューサイトのRotten Tomatoesでもオーディエンススコア96%を記録するなど支持を集めて大成功! シーズン2は日本国内で14日連続1位を獲得。世界90以上の国と地域でTOP10入りを記録しています。

では、シーズン1と2のあらすじをサクッとご紹介しましょう。

シーズン1:アリスとウサギの出会いと、げぇむの始まり/全8話

有栖良平(アリス:山崎※賢人)が、友人のチョータ(森永悠希)とカルベ(町田啓太)と渋谷駅のトイレにいる間に、突然、“今際の国”に放り込まれてしまう。渋谷の街から人が消えてしまったことに驚きつつ、彼らはスクランブル交差点の電光掲示板の表記に導かれ、雑居ビルの中でげぇむに参加させられます。この世界を生き抜くためには、げぇむに勝ち続けなければならない……。アリスは今際の国で出会った女性プレイヤー、宇佐木柚葉(ウサギ:土屋太鳳)と生き残った人物たちとともに命懸けで、げぇむに挑戦していく……。

1エピソードごとに“命懸けのげぇむ”が登場。トランプのマークでげぇむのジャンル分けがされていたり、数字が難易度を表していたりと、細部に至るまで凝った構成となっています。ただのげぇむを描いた物語ではなく、家族にも見放され、自堕落な生活をしていたアリスが、“命懸けのげぇむ”に巻き込まれながらも地頭のよさを発揮して勝ち抜き、生きることに前向きになっていくというアリスの成長も描かれています。

※山崎賢人の「崎」は正式には「たつさき」

シーズン2:ゲームとともに描かれる登場人物の過去/全8話

今際の国のアリス シーズン2

©麻生羽呂・小学館/ROBOT

シーズン1の最後、ビーチでの死闘の後、げぇむの運営側のミラ(仲里依紗)が現れ、NEXT STAGEを宣言します。エピソード1は再び渋谷の街から最初のげぇむがスタート。説明もなく銃撃戦とカーチェイスが展開され、アリスたちは翻弄(ほんろう)されます。

シーズン2は、銃撃戦、肉弾戦と頭脳戦がはっきり分かれている印象。「どくぼう」「てんびん」の頭脳戦に登場するバンダ(磯村勇斗)とヤバ(毎熊克哉)はシーズン3の重要人物なので要チェック。またエピソード2に登場する山下智久が演じるキューマのカリスマ性と肉体美は話題になりました!

シーズン1がアリスの成長物語だとしたら、シーズン2はアリス、ウサギと登場人物たちが過去と向き合いながら、前進していく物語。過酷な“げぇむ”の世界から逃れたいはずなのに元の世界がつらい人物も……。ドラマチックな要素も色濃く描かれています。

では、最新作シーズン3についてご紹介しましょう(ネタバレなし)!

シーズン3:アリスとウサギの現在地と今際の国への挑戦

「今際の国のアリス」シーズン3

©麻生羽呂・小学館/ROBOT

シーズン3は、アリスと結婚して幸せなウサギが、シーズン2の最後に登場したJOKERのカードに導かれ、今際の国に戻ってしまうところから始まります。アリスは彼女を取り戻すべく、アン(三吉彩花)の協力を得て、今際の国へと向かいます。
今際の国のアリス シーズン3

©麻生羽呂・小学館/ROBOT

シーズン3の大きな特徴は、アリスとウサギが別々に“げぇむ”に挑戦するということ。それぞれ、新たな登場人物とともに戦います。シーズン3の最重要人物はリュウジ(賀来賢人)。ウサギとともに“げぇむ”に挑戦していく男で、“今際の国”と“生と死の境界線”に興味を抱く人物です。ウサギを巡り、アリスとリュウジ、2人の男がバチバチと火花を燃やすシーンもあり、この3人の関係の変化からも目が離せません。

では、シーズン1から本作を手掛ける佐藤信介監督にシーズン1~3まで、このシリーズの魅力を語っていただきましょう!

佐藤信介監督が語る『今際の国のアリス』シーズン3までの道

――2020年12月10日に『今際の国のアリス』シーズン1が配信され、世界中で多くのファンを獲得し、成功を収めました。シーズン1の制作時からシーズン3までの構想はあったのでしょうか?

佐藤信介監督(以下、佐藤監督):『今際の国のアリス』のシーズン1を制作するときに、シーズン3まで展開すると大きな物語が作れるのではないだろうかという構想はありました。「シーズン1で成功した場合、シーズン2を。できたらシーズン3までやりたい」という話になりましたが、こればかりは配信が始まらないと分からないので、とにかくシーズン1を集中して作ろうと強い気持ちで臨みました。

シーズン1の制作プランを立てる際、原作コミックをいくつかのシーズンで映像化するかという話になり、シーズン2でラストまで描いて終わりにしようと決まりました。ゆえにシーズン1は「NEXT GAME」で終わらせ、シーズン2につなげていくことにしたんです。

――シーズン2で終わらせるつもりだったんですね。

佐藤監督:まだシーズン1を制作する前の段階でしたから。うまくいってシーズン3を制作することになったら、そのときはオリジナルストーリーでいこうとは考えていました。なので、シーズン2を制作している段階で、シーズン3の構想は練っていましたね。
今際の国のアリス シーズン3

©麻生羽呂・小学館/ROBOT

――シーズン1、2を作った後、シーズン3のオリジナルストーリーはどのよう生み出されたのでしょうか?

佐藤監督
:シーズン2を撮影しているとき、そういえばJOKERはまだ1回も出てきていないと気付いて、最後にJOKERを出すのはどうだろうと考えました。一度全て解決したように見えるけれど、どこかにJOKERを忍ばせて、そこからシーズン3の物語をスタートさせたらいいのではないかと。そもそもJOKERは誰なんだ?など、シーズン3の内容を少しずつ考えていきました。

――シーズン2を作りながら、シーズン3の構想を練っていたんですね。

佐藤監督
:撮影中は、その作品のことばかりを考えているので、いろいろな発見があるんです。「シーズン2には描かれていないけど、実はこういう説もあるのではないか」とか「今際の国のアリスとはこういう意味なのではないか」など、さまざまな発見を繰り返しているうちに、次の世界が見えてきたという感じですね。
今際の国のアリス シーズン3

©麻生羽呂・小学館/ROBOT

――シーズン3のげぇむは、原作にあったけれど、これまで登場しなかったげぇむもありました。

佐藤監督
:そうですね。部分的には、原作を生かしています。しかし、ストーリーとしては完全オリジナルです。

――すでに原作のある作品でオリジナルストーリーを作り出すのは苦労されましたか?

佐藤監督
:原作漫画と映像作品はメディアが違うので、原作を元に映画やドラマにする場合でも、原作の完全コピーという作業にはなりません。ゆえに原作があってもオリジナル要素は必要不可欠です。

とはいえ、シーズン3は最初からオリジナルストーリーと決めて制作したので、映像表現に特化した物語やゲームを作り出すことができるというシンプルなよさがありました。

もちろん0から生み出す苦労はあります。考える時間も長くなりますし、難しさもありますが、原作の脚色も非常に難しい作業なので、どちらが難しいということはないです。シーズン3は、映像作品として描きたいことをやり切ったと感じています。

山崎賢人は何者にでもなれる俳優

――主演の山崎賢人さん、土屋太鳳さんのキャスティングの経緯を教えてください。

佐藤監督
:『今際の国のアリス』シーズン1の制作が始まる前、アメリカではNetflixの人気が上昇中で、自分も関われることに興奮していました。しかし、日本ではまだNetflixはメジャーではなく、映画関係者もピンとこない感じでした。

そんな時期ではあったものの、『今際の国のアリス』を時代を塗り替えるような作品にしたいと思いは強く、山崎賢人さんにはぜひ出演をしていただきたいと考えていました。山崎さんとは映画『キングダム』で仕事をしていてつながりもあったので「一度ぶつかってみよう!」と、みんなで話してオファーをしたんです。そうしたら承諾してくださって、土屋太鳳さんからも出演OKをいただけて。

メジャーシーンを走る2人の俳優が主演してくれるなんて、これまで動画配信は、日本では小さな扱いだったけれど、日本のエンターテインメントの中心になっていくのではないかと思いました。
今際の国のアリス シーズン3

©麻生羽呂・小学館/ROBOT

――アリスを演じた山崎さんは『キングダム』シリーズでも組んでいますが、彼の俳優として魅力は?

佐藤監督
:山崎さんは何者にでもなれる俳優。俳優としてとても重要なことなのですが、白紙のような存在なんです。その真っ白い紙にこちらが絵を描いていく感じですね。こちら側のどのようなオーダーも素直に受け止めてくれて、どの作品でも毎回、初心に戻って挑まれている感じがします。だからこそ何者にでもなれるんです。

――なるほど。アリスも『キングダム』の信も「この役は山崎さんしか考えられない」と思わせるのは、常に初心に戻って演じられているからかもしれないですね。

佐藤監督
:『今際の国のアリス』のアリスと『キングダム』の信はまったく異なるタイプのキャラクター。そして山崎さん自身もどちらにも似ていません。しかし『今際の国のアリス』の撮影で会う山崎さんは、アリスにしか見えない。その前に『キングダム』を撮影していても、信だったときの山崎さんを全然思い出せない。それくらい役に完全に染まることができる俳優です。

一度、『キングダム』の撮影時に『今際の国のアリス』の台本が出来上がり、休憩時間に少しだけその話になったことがありました。その時、彼は信の衣装のままアリスのセリフを少し言ったんですが、目の前にいる山崎さんは信なので、僕が混乱してしまったということがありました(笑)。

『今際の国のアリス』は土屋太鳳の演技にも支えられている

今際の国のアリス シーズン3

©麻生羽呂・小学館/ROBOT

――監督は土屋太鳳さんと以前、仕事をされていますが、土屋さんの魅力は?

佐藤監督
:太鳳さんとは、スペシャルドラマ『図書館戦争 ブック・オブ・メモリーズ』(2015/TBS系)で一緒に仕事をしていますが、当時は、とてもおとなしくてか弱い印象があったんです。しかし『今際の国のアリス』で久しぶりにお会いしたら、か弱さはまったくなく、華やかで強い俳優になったと感じました。演技力もあり、安定感が抜群なんです。僕は『今際の国のアリス』は、太鳳さんの芝居の安定感にもかなり支えられていると思います。

――土屋さんの演技の魅力はどのようなところでしょうか?

佐藤監督
:シーズン1の最初のほうのウサギは、今際の国を知るミステリアスな存在。その謎めいた雰囲気をよく捉えていました。エピソードを重ねるごとに人間味が増し、シーズン3では運命に翻弄され続けるウサギを見事に演じ切ってくれました。

太鳳さんはリアリティーある芝居が必要なときは、しっかり現実に即した芝居をしてくれるし、ファンタジー的な要素が必要なときは、ファンタジーの世界の住人として存在してくれる。リアルとファンタジーの間を行き来できる俳優で、これができる人はあまりいないのではないかと思います。僕は演出家として太鳳さんのお芝居には本当に助けられたと思っています。

――土屋さんは身体能力も高いですよね。

佐藤監督
:運動神経がいい方なので、シーズン1、2では肉体を駆使していただきました。特にシーズン2は太鳳さんの体力の限界に挑戦していただいたと思います。

シーズン3のときは、シーズン1、2ほどの肉体を使ったアクションはありませんが、先ほどもお話ししたように運命に翻弄されるウサギを演じる太鳳さんの演技力を堪能できますし、シーズン3はウサギの物語でもあるんです。

シリーズを通して、山崎さんも太鳳さんもアリスとウサギとして変化し、そのことが作品にとてつもない影響を与えてくれたと思います。ともに作品を作り上げることができて、僕にとっても素晴らしい数年間でしたし、そうした充実感が、この作品に表れていると思っています。

Netflixシリーズ『今際の国のアリス』シーズン3

今際の国のアリス シーズン3

©麻生羽呂・小学館/ROBOT

2025年9月25日(木)よりNetflixにて世界独占配信
シーズン1~2:Netflixにて独占配信中

出演:山崎賢人、土屋太鳳、磯村勇斗、三吉彩花、毎熊克哉、大倉孝二、須藤理彩、池内博之、
玉城ティナ、醍醐虎汰朗、玄理、吉柳咲良、三河悠冴、岩永丞威、池田朱那、賀来賢人
原作:麻生羽呂『今際の国のアリス』(小学館『少年サンデーコミックス』刊)

監督:佐藤信介

脚本:倉光泰子、佐藤信介
音楽:やまだ豊
撮影監督:河津太郎
美術監督:斎藤岩男、中山慎
アクション監督:下村勇二
VFXスーパーバイザー:土井淳
エグゼクティブ・プロデューサー:坂本和隆
プロデューサー:森井 輝、高瀬大樹
制作協力:株式会社THE SEVEN
企画・制作:株式会社ロボット
©麻生羽呂・小学館/ROBOT
製作:Netflix
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