定年・退職のお金

「保険はもう不要?」シニア世代の民間の保険加入率の実態は?【高齢社会白書】

老後の生活に備えて「保険に入っておかないと心配だ」という人は多いのではないでしょうか。しかし、物価の上昇などもあり「保険料という固定費が重い」と感じる人も増えています。今回は内閣府が発表した「令和7年版 高齢社会白書」から、シニアの生命保険の加入率の実態を見てみましょう。※サムネイル画像:amanaimages

舟本 美子

舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金 ガイド

おひとりさまのお金の貯め方・使い方、老後を自分らしく暮らすためのアドバイスをします。また、一生涯、ペットと共生するための情報、開運術をお届けします。

プロフィール詳細執筆記事一覧
老後の生活に備えて「保険に入っておかないと心配だ」という人は多いのではないでしょうか。病気やけが、介護などに対する不安がある以上、保障を持っておきたいという気持ちは自然なものです。しかし、物価の上昇などもあり「保険料という固定費が重い」と感じる人も増えています。

「もう解約したい」「本当に必要なのだろうか」と悩む人もいるでしょう。今回は内閣府が発表した「令和7年版 高齢社会白書」から、シニアの方々の保険の加入率の実態を見てみましょう。
「保険はもう不要?」シニア世代の加入率と備えの実態は?【高齢社会白書】※画像:amanaimages

「保険はもう不要?」シニア世代の加入率と備えの実態は?【高齢社会白書】※画像:amanaimages

生命保険の加入率は5割超。2019年度の調査よりも保険の加入率が上昇

調査では、60歳以上の男女2188人に「老後に備えた民間保険等の加入状況」を尋ねています。以下がその結果です。※複数回答

【60歳以上の保険加入ランキング】
・1位:生命保険……56.0%
・2位:病気やけがのための保険……50.7%
・3位:個人年金……19.7%
・4位:介護のための保険……13.3%
・5位:企業年金……13.0%

●老後に備えた民間保険等の加入状況(前回調査との比較)
出所:内閣府「令和7年版 高齢社会白書(老後に備えた民間保険等の加入状況)」

出所:内閣府「令和7年版 高齢社会白書(老後に備えた民間保険等の加入状況)」

最も加入率が高かったのは「生命保険」で56.0%、次いで「病気やけがのための保険」が50.7%となり、この2つはいずれも半数を超えています。

また、前回(2019年度)の調査結果と比べると、生命保険は48.3%から56.0%へと「7.7ポイント」増加。病気やけがのための保険は29.3%から50.7%へと、実に「21.4ポイント」も上昇しています。

一方で「いずれも加入していない」と回答した人は、36.2%から17.2%へと「19ポイント」減少。

これらの結果から、シニア世代の間では「老後のリスクに備えて保険に加入しておこう」という意識が、以前よりも一層強まっていることが明らかになっています。

60代後半が保険加入に最も積極的、年代が上がると低下傾向

次は、シニアの年代や性別ごとの加入状況を見てみましょう。

●老後に備えた民間保険等の加入状況(性・年代別、ひとり暮らしとそれ以外の比較)
出所:内閣府「令和7年版 高齢社会白書(老後に備えた民間保険等の加入状況)」

出所:内閣府「令和7年版 高齢社会白書(老後に備えた民間保険等の加入状況)」

最も積極的に生命保険へ加入しているのは60代です。具体的には、男性(60~64歳)の加入率は「63.9%」、女性(65~69歳)は「67.9%」と、全体平均の56.0%を大きく上回っています。

同様に「病気やけがのための保険」でも、男性(65~69歳)が「59.5%」、女性(65~69歳)が「67.5%」と高い割合を示しており、60代後半は老後の備えにおいて病気やけがのための保険の必要性を感じていることがうかがえます。

一方で、年齢が上がるにつれて「いずれも加入していない」と答える割合が増えていきます。65~69歳では男性が「10.9%」・女性が「8.0%」と低い水準にとどまりますが、85歳以上になると男性「34.4%」、女性「39.7%」と3~4倍に増加します。

この背景には、年齢とともに保険料の負担が重くなることや、医療保険に対する必要度の変化があると考えられます。

厚生労働省の「生涯医療費(令和4年度推計)」に関するデータによれば、医療費は75~79歳をピークに、80代後半以降は徐々に減少する傾向があります。これは病気が減るのではなく、体力や判断力の低下によって積極的な治療を受けにくくなることが要因とされています。こうした現実が、医療保険の必要性や加入継続に影響を与えている可能性があります。

また生命保険については、終身型を若い頃から持っていれば継続して保有する人も多いでしょう。しかし定期型の場合、80歳以降は更新や新規加入ができないケースが一般的です。結果として、高齢になるほど生命保険の加入率が下がる一因になっていると考えられます。

まとめ

今回の調査結果からは、シニア世代の保険加入率が前回よりも大幅に上昇しているという実態が明らかになりました。一方で、年齢が高くなるほど「保険に加入していない」割合も増えており、保険料負担や加入の必要性に対する考え方は、年代ごとに変化することも分かります。

つまり「老後の備え」といっても一括りにはできず、ライフステージや家族構成、健康状態に応じて、どの備えが自分にとって本当に必要なのかを見極める姿勢が求められるといえるでしょう。
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2025/10/31まで)を実施中です!

※抽選で20名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や投資行動を推奨するものではありません。
投資や資産運用に関する最終的なご判断はご自身の責任において行ってください。
掲載情報の正確性・完全性については十分に配慮しておりますが、その内容を保証するものではなく、これに基づく損失・損害などについて当社は一切の責任負いません。
最新の情報や詳細については、必ず各金融機関やサービス提供者の公式情報をご確認ください。

あわせて読みたい

カテゴリー一覧

All Aboutサービス・メディア

All About公式SNS
日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
公式SNS一覧
© All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます