働くことには、収入を得ることに加え、規則正しい生活の維持、人との交流、やりがいや生きがいを感じられるなど、さまざまなメリットがあります。
今回は、60代で働く人の割合と、どのくらいの年収を得ているのかをご紹介します。

60代で働いている人の割合と年収はどのくらい?(画像:PIXTA)
60歳以上で働いている人の割合はどのくらい?
総務省「労働力調査2024(令和6)年 平均結果」の中では、60歳以上の人々の「就業率の推移」を確認できます。60歳以上の年齢を5歳ごとに区切った2024(令和6)年の就業率は、以下のとおりです。【2024(令和6)年 年齢階級別就業率】
・60~64歳:74.3%
・65~69歳:53.6%
それぞれ、10年前の2014(平成26)年の就業率と比較すると、2024(令和6)年の就業率は、いずれの年齢階級においても伸びています。中でも、60~64歳は13.6ポイント、65~69歳は13.5ポイントと大きく伸びていることが分かります。 次は、男女別に就業状況を見てみましょう。
【男性就業者の割合】
・60~64歳:84.0%
・65~69歳:62.8%
【女性就業者の割合】
・60~64歳:65.0%
・65~69歳:44.7%
60~64歳までは、男女ともに、多くの人が働いており、働くことが「当たり前」と言える状況であることが分かります。さらに、65~69歳は、男女ともにほぼ半分の割合が就業しています。
定年後、働いている人の平均年収はいくら?
次は、定年後、働いている人の平均年収を厚生労働省「2024(令和6)年賃金構造基本統計調査 結果の概況」で確認してみましょう。それによれば、男女をあわせた60~64歳の平均賃金は31万7700円で、年収に換算すると約381万円となり、65~69歳の平均賃金は27万5500円で、年収に換算すると約330万円となります。
男女別でみた平均賃金は次のとおりです。
【男性の平均賃金】
・60~64歳:34万4700円(年収に換算すると約414万円)
・65~69歳:29万4300円(年収に換算すると約353万円)
男性の平均賃金のピークは、55~59歳の44万4100円(年収に換算すると約533万円)であるため、60~64歳になると年収は約8割に、65~69歳になると年収は約7割に減ることが分かります。
【女性の平均賃金】
・60~64歳:25万9900円(年収に換算すると約312万円)
・65~69歳:23万4000円(年収に換算すると約281万円)
女性の平均賃金のピークは、45~49歳の29万8000円(年収に換算すると約358万円)です。その後、徐々に目減りして55~59歳になると29万4000円(年収換算にすると約353万円)になります。60~64歳の年収はピーク時期と比べ約8~9割に減ります。さらに、65~69歳では年収が7~8割に減ります。
男女の賃金を比較すると、定年後も男性のほうが女性より高い傾向が続いています。例えば60~64歳の平均年収では、男性が約414万円、女性が約312万円と、その差はおよそ100万円。65~69歳でも、男性は約353万円、女性は約281万円と、依然として差が見られます。
この背景には、現役時代の雇用形態や勤続年数、職種の違い、非正規雇用の割合などが関係しています。女性は出産や育児などでキャリアが中断されやすく、パート・アルバイトなど柔軟な働き方を選ぶ人も多いため、年収にその影響が反映されやすいと言えるでしょう。
まとめ
定年後も元気なうちは働いて収入を得られますが、年齢とともに体力や健康に不安を感じる場面も出てきます。だからこそ、老後は「無理なく続けられるペース」と「自分に合った働き方」を意識することが大切です。将来的な収入確保のためには、会社勤めに依存しない働き方を検討することも有効です。例えば、今までの経験やスキルを生かして、クラウドソーシングで在宅ワークを始めたり、オンライン講師やカルチャースクールで教えたりなど、自分の強みを生かせる場面は多くあります。
少しずつでも今から準備しておくことで、70代以降も無理なく収入を得ながら、自分らしい暮らしを続けられるでしょう。