42歳の柳田豪太(風間俊介)は売れない脚本家。仕事はない、収入もない、けれど性欲だけはあるので、毎晩、妻のチカ(MEGUMI)にお願いしていますが、「ウザい!」と一蹴されてばかり。「もうアンタとはしたくない」「風俗行ってきな」など、きつい言葉で豪太を遠ざけるチカだけれど、豪太が久しぶりに書いた脚本はちゃんと読んでいたり、仕事を手伝ったり、きちんとサポートしていたのですが……。
豪太とチカの丁々発止のやりとりが最高。豪太が情けなさ過ぎたり、チカの言葉の切れ味の鋭さに惚れ惚れしたり……。そんな豪太とチカを演じる風間さんとMEGUMIさんはどのような役作りをして撮影に臨んだのでしょうか。
<目次>
風間俊介さん&MEGUMIさんにインタビュー
――柳田豪太は、足立紳監督ご自身がモデルだそうですが、風間さんは自分が出演している作品の監督がモデルの役を演じるにあたって、どのように考えて撮影に臨まれたのでしょうか?風間俊介さん(以下、風間):面白い経験でした。しかし、足立監督にご本人についてあれこれ質問するのは野暮(やぼ)だと思ってしませんでした。「このセリフ、本当に言ったんですか?」と確認をしたくらいです。監督は豪太のお手本ですが、細かいことはあえて聞かず、師匠の背中を見ながら、その個性や人柄を盗んでいくという感じでした。
――監督の前で監督の分身のような役を演じるのは、やりにくくなかったでしょうか?
風間:やりにくさはありませんでした。ただ、監督が「これは足立家の話をベースにした“物語”だから」とおっしゃっていたので、僕は「フィクションの部分が大きいんだな」と思っていたんです。でもある日、撮影現場で「豪太の行動がひど過ぎて、もうありえないんだけど」とスタッフさんと話していたら、監督がそれを聞いてシュンとしちゃって……。そのとき、この物語はほぼ実話で、豪太=足立監督なんだと思い直しました。 ――MEGUMIさんは足立監督の奥さまにお会いしたんですよね。チカに近い感じの方なのですか?
MEGUMIさん(以下、MEGUMI):奥さまは撮影現場に何度も来てくださいました。私たちに見せる顔と、監督や家族に見せる顔は違うと思いつつ、チカらしさはありました。監督と奥さまのやりとりを垣間見る機会もあり「なるほど」と腑に落ちることもありましたね。
――足立監督の奥さまから役について何か言葉を受け取りましたか?
MEGUMI:「ごめんなさいね、こんなことやらせちゃって」みたいな感じのことはおっしゃっていました。お会いしたことで、役を膨らませることができました。 ――チカは夫に対して、常に強めのセリフでシャットアウトしますが、その言葉のさじ加減はどのように考えて演じていたのでしょうか?
MEGUMI:私はこういう強めの女性役を演じさせていただく機会が少なくないので、「前にもこういう女性を演じていたよね」と観客の皆さんに思われないように気を付けました。
ただ、豪太のとんでもなくクズな言動がいろいろな角度から飛んでくるので、それに対してリアクションしていると、自分で調節しなくても、怒り過ぎて笑うとか、あきれ過ぎて失笑とか、今までやったことのない芝居がリアルにできていました。それはやはり豪太を演じた風間くんがすごかったんだと思います。
>次ページ:抜群の相性! 尊敬し合う風間さん&MEGUMIさん