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「汗くさい」「タバコ」「香水」がにおう! 職場の「スメルハラスメント」に専門家の見解は?

All About編集部が実施したアンケートに寄せられた「スメルハラスメント」についてのさまざまなエピソードを紹介します。また、社会保険労務士・行政書士に困った時の対処法を教えてもらいました。【職場で体験したハラスメント #2】

執筆者:All About 編集部

職場にたちのぼる様々なにおいのエピソード

職場には、あらゆる「におい問題」が存在します。笑えるレベルから、体調不良に陥るレベルまで……

All About編集部が全国の男女に実施した「職場で体験したハラスメント」アンケートに寄せられた回答の中から、においにまつわるハラスメント「スメハラ」に関するエピソードをピックアップしてご紹介します。
 
また、社会保険労務士・行政書士の小西道代さんから職場の「スメハラ」対処法もいただきました。
<目次>

清潔第一

 まずは、王道のスメルハラスメントから。
 
「以前働いていた飲食店ではキッチンスタッフの体臭がひどく、特に夏場は強烈なにおいが充満していました。店長に体臭対策に関する研修を実施してもらうようお願いし、簡単なマニュアルが作られ、研修が始まりました(20代・女性)」
 
「自転車で通勤する男性社員の汗のにおいがひどいです。なんか服に汗が染み付いてるみたいできついです(30代・女性)」
 
自転車で会社に来た後に着替えはしないのでしょうか……?
 
「入浴が嫌いと公言している隣の席の同僚の、ムートンブーツがものすごくくさかったです。靴を脱ぐことはないのに、におってきました(40代・女性)」
 
「ブーツを履いてる女性の足のにおいが周りに充満していた(30代・男性)」
 
ブーツがくさいのか、ブーツを履く足がくさいのか。
 
「口臭がきついと感じたことがあります。本人は気付いていないようですし、はっきりと悪意や悪気がない事はうかがえます。口臭を指摘するのは、難しいものがあります(40代・回答しない)」
 
確かに、口臭は難しい問題ですよね。ただ単に歯磨きすれば解決するわけではなく、健康上の問題がある場合もあります。

タバコを吸わない人には強烈です

タバコを吸う人は慣れてしまっていて、そこまで感じていないかもしれませんが、まったく吸わない人からすると強烈なにおいに感じられますよね。
 
「上司についてですが、コーヒーと紙タバコのにおいを充満させて、唾を飛ばしながら、理不尽な注意をしてきました(30代・女性)」
 
「隣に座る上司が、タバコを吸う人なので、休憩で吸いに行って戻る度にこちらがマスクをしていてもにおう時がきつかったです(30代・女性)」

「よくタバコを吸いに行く人がいて、喫煙から戻って来るたびにタバコのにおいを連れてきます。タバコのにおいが苦手で、ひどいと頭痛もするので、同じ空間にいたくないぐらいストレスがたまります(40代・女性)」

「タバコのにおいが強烈な男性社員がいました。1時間に1度吸いに行くので、ずーっとにおいがかなりきつく、頭痛がするほどでした(40代・女性)」

おいしいのかもしれないけれど

食べ物のにおいは、好き嫌いにも左右されるので、意外なもので迷惑と思われている可能性もありそうです。

「毎日のようににおいのきつい昼食を食べている人がいます。カレーなどはまだ許せるのですが、ニンニクいっぱいのラーメンなどを同じ空間でしょっちゅう食べられるときついです(20代・女性)」

「職場で納豆を食べる後輩がいます。オフィスににおいがこもるのでやめてほしいと言っているのになかなかやめません(40代・男性)」
 
「事務所でスルメイカなど仕事をしながらにおいの強い食べ物(特におつまみ)を食べる人。仕事をしながら何かを食べたり飲んだりするのは問題のない会社でしたがにおいのきついものを選り好んで持って来られるのはきつかったです(30代・女性)」

生乾きの衣類からたちのぼる

梅雨時や夏場の生乾き臭、たまらないですよね。部屋干しの失敗で自分でも簡単にあのにおいを発生させられると思うと恐ろしいことです。
 
「洗濯ものの生乾き臭をさせる人がいました。わざとではないことは分かるけれど、近くにいるとにおいが鼻につくのでしんどく感じました(30代・女性)」
 
「夏、男性の同僚のシャツが生乾きの雑巾のようなにおいに加えて、ごまかそうとしたのか市販の布用消臭スプレーを大量にかけたらしいにおいもついていて、とんでもない異臭を放っていた(40代・女性)」

全員にとって良い香りではない

 本来、良い香りとされるものでも、人によって好き嫌いはありますし、使い方によっては悪臭になってしまうこともあるようです。
 
「柔軟剤の香りがキツい人がいます。主婦の方なのですが、休憩室など近い距離にいられると食事をする気が失せてしまいます(40代・女性)」

「夏に外回りから帰ってきた先輩社員がデスクで制汗スプレーを使う。本人は爽快かもしれないがスプレーの香りがしばらく残り、くさい(40代・男性)」
 
「男性の上司の香水のにおいがとてもきつくて仕事で話すたびに頭がクラクラしたり、気分が悪くなってしまいます(30代・女性)」
 
「女性の上司の香水がキツすぎて、その場にいなくても分かるぐらい、いつまでもにおいが漂っているのがしんどかったです(30代・女性)」
 
さまざまな種類の「スメルハラスメント」をご紹介してきましたが、悪臭でも良い香りでも起きてしまうのが難しいところなのかもしれません。

【専門家アドバイス】就業規則の「服務規律」や「職場秩序」に規定を盛り込む

スメルハラスメントに遭遇した時に何ができるのか、社会保険労務士の小西道代さんに法律面も含めて、お聞きしました。
 
「職場のハラスメントとは、『従業員の就業環境を害する行為』と定義されていますが、においの感じ方は個人の嗜好や体質によるところが大きく、『職場環境を害する行為』として一律に判断できない点で難しい問題です。
 
とはいえ、お客様が来社された際や商談中に不快な思いを与えてしまうと、会社のイメージにも悪影響を及ぼしかねません。そこで、会社内で一定のルールを作って周知することが対策となります。毎月開催されている安全衛生委員会の議題とするのもいいですし、従業員が職場環境や人間関係などについて相談・意見を寄せられる社内通報・意見受付窓口などの仕組みがあれば、提案してみましょう。
 
なお、就業規則は労働基準法に基づいて作成され、必ず記載しなければならない項目と、会社が任意で定める項目があります。例えば、『服務規律』や『職場秩序』の項目は、従業員が職場で守るべき基本的な態度や行動を定めたものであり、『におい』の問題も、他者に不快感を与える程度となれば、これらの規定の対象となります。
 
以下のような文言を追記することで、無意識に周囲へ迷惑をかけている場合でも、具体的な配慮の基準を示すことができます。『職場内では、周囲に不快感を与える行為(不衛生な服装、強い香料の使用等)を避け、常に清潔で節度ある身だしなみを保つこと』」
 
まずは、社内のしかるべき部署に相談を持ちかけてみるのがよいのかもしれませんね。
 
最後に、毎週土曜日にオフィスで起こるカレー臭騒動に自ら突っ込んでいった人の妙におかしみのある回答をどうぞ。
 
「なぜか毎週、土曜日に必ずオフィスでカレーを食べる人がいる。同じ人ではなく違う人の時もあり社内に何人か土曜にカレーを食べる習慣の人がいるようだ。土日は来客がないので多少、においのあるものを自分のデスクで食べるのは認められています。時々、自分もつられてカレーを食べています(50代・女性)」

<調査概要>
職場で体験したハラスメントに関するアンケート
調査期間:2025年2月25日~3月27日
調査対象:全国10~70代の男女150人
 
小西道代(こにし みちよ)プロフィール
行政書士法人グローアップ代表。社会保険労務士法人トップアンドコア役員。大学卒業後、日本マクドナルドに入社。幅広い年齢層と共に働くことで、法律や制度だけではない労務管理・組織運営に興味を持ち、弁護士事務所等で経験を積む。自身も喫茶店を経営した経験から、労務トラブル予防の労務相談を得意とする。All About「労務管理」ガイド。
 
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