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「大声」「貧乏ゆすり」「キーボードの音」がうるさい「オトハラ」続々……今すぐできる対処策は?

All About編集部が実施したアンケートに寄せられた、音にまつわるハラスメント、「オトハラ」についてのさまざまなエピソードを紹介します。【職場で体験したハラスメント #1】

執筆者:All About 編集部

隣席の同僚にEnterキーを全力「ターン!」されたら困ります……

隣席の同僚にEnterキーを全力「ターン!」されたら困ります……

All About編集部が全国の男女に実施した「職場で体験したハラスメント」アンケートに寄せられた回答の中から、音にまつわるハラスメント「オトハラ」に関するエピソードをピックアップしてご紹介。

また、社会保険労務士・行政書士の小西道代さんに「オトハラ」についてのアドバイスもいただきました。
<目次>

大きな声は、迷惑でもあり恐怖もある

大きな声は意図はなくても、それだけで人を怖がらせてしまうことがありますよね。

「先輩で、私より若い子なのですが、声がとにかく大きいんです。ヒヤッとするし、怒られているみたいでストレスです(20代・女性)」

「話し声が大きすぎる人がいて、電話をかける時も隣の部屋に聞こえるくらいの声量でした。話し方も怒鳴っているように聞こえることもあり、その人の近くにいると怖いと感じることが多々ありました(30代・女性)」

「電話口の人の声が聞こえないほど離れた席で大声で電話していてうるさい人がいる(20代・女性)」

「真剣に仕事をしている時に隣のブースで呑気に大声でおしゃべりしている人達がいてとても不快でした。隣の人たちの大きな声でのおしゃべりのせいで、自分の仕事で聞き取れない音声があり支障出た(30代・女性)」

シャカシャカ、カタカタ、ガタガタ

職場での不快な音には「貧乏ゆすり」の音もありました。

「隣の席の人が貧乏ゆすりをする人で、ズボンの音がシャカシャカうるさくてそればかり気になるようになりました(20代・女性)」

「貧乏ゆすりを頻繁にする同僚がおり、始まると彼が座っている椅子がカタカタと音をたてるので、周囲がいらいらする状態になります(50代・男性)」

「上司はうまく行かないことがあると貧乏ゆすりが止まらず、それにともない机の引き出しがガタガタ鳴りっぱなしでその音が不快でした(50代・女性)」

その物音は無意識? 意図的?

オフィス内で大きな音を立てられるとびっくりするし、集中が途切れてしまうこともあります。当人は無意識で立てていることも多々ありそうです。

「先輩社員で、行動の1つ1つがうるさい人がいました。具体的には、足音はバタバタ、戸の開け閉めや引き出しなどを『バンっ!』と勢いよく閉める、痰(たん)が絡んでいるのを咳払いをしたり鼻をすすったり、などなど(40代・女性)」

「隣の席に座っている上司の引き出しを閉める音がすごく大きく『ガシャン!』と閉める。その上司が席にいる時は音を大きめに立てるように閉めていると、『音大きいよね(笑)』と冗談風に言われたため『〇〇さんの方がいつも大きい音ですよ!』と伝えたら、閉める際の音の音量が軽減された(20代・女性)」

「上司は電話の受話器を強く『ガチャン』と切ります。怒っているわけではなく普通の電話対応で電話を強く切るので誰も言えず困りました(40代・女性)」

ちょっとグレーな感じの人もいそうです。

「とにかく机の引き出しをバンバン開け閉めしたり、机の上に物を置く時、故意に物音を大きく立てて強く投げつけたり、扉の開け閉めも音を立てます。本人はそんなに音を立てているつもりはないらしい、と上司から聞きましたが、上司がいる時は静かなので、上司も半信半疑だったようです(50代・女性)」

そして、意図的にいやな感情をのせてくる人もいます。

「社長は怒った時に資料を入れている棚のドアを思い切り閉め、わざと大きい音をさせて社員を萎縮させていた。新卒の人などが怖がっていたため、社会保険労務士の先生と一緒にボイスレコーダーで音を取った(20代・女性)」

「ガチャガチャとイライラしたときに音を必ずたてて物にあたるパートの人がいて、それが毎回なので嫌な気持ちになった。ため息をついてそれに気づいて辞めてもらえるように察してほしいなという行動をダメ元で取ったが、効果なし(20代・女性)」

音にはため息で対抗……。

「ドアや引き出しを大きな音をたててバンと閉められた。不機嫌や苛立ちをこちらに向けないためなんだろうけど普通に不愉快だった(20代・女性)」

キーボードでアピール? 威圧?

アンケートの回答中で一番多かったのは、キーボードを打つ時の音の問題でした。

「業務上、タイピングが多い場面だったので仕方がない部分もありましたが、一般的な強さでは出ない音を出したり、キーボードの一部が破損するほどの強さだったので、その音を聞くだけで業務に集中できなくて困りました(40代・女性)」

「大してタイピングが早いわけでもないのに、キーボードのタッチ音が大きい人。仕事出来ます! やってます! オーラがハンパない(40代・女性)」

「キーボードの打鍵音が必要以上に大きな人がいました。特にEnterキーを打鍵するときの音が大きかったです。イライラしているのか威圧感がありました(30代・女性)」

大声、貧乏ゆすり、物音とみてきましたが、あなたの職場にもこんな風に音をたてる種族の人はいるのでは? 逆に「自分では意識できていなかった」と思われた人もいるかもしれません。

【専門家アドバイス】会社には職場環境を整える義務がある

オトハラの種類はさまざまあることが分かりましたが、労務管理ガイドの小西道代さんに法律面も含めて、「オトハラ」に遭遇した時の対処についてお聞きしました。

「仕事に集中したいのに、周りの音が気になって思うように進まない……という時、ありますよね。相手も決して故意にやっているのではなく、無意識に音を出してしまっている可能性もあり、自分から注意するのも関係性を考えると難しいものです。

最近では、テレワークや在宅勤務OKの会社や自席を特定しないフリーアドレスの会社も増えていますが、多くの場合、複数の人が同じ執務室内で働いています。いつでも業務の相談ができたり、仲間とのコミュニケーションを図れたりというメリットがある一方、近くに人がいるからこその騒音に気が散って集中できないというデメリットもあります。

法律的な話でいえば、会社には安全配慮義務の一環として、従業員が安心して働けるように職場環境を整える義務(職場環境配慮義務)があります。適切な配慮がなされないまま問題が放置された場合は、会社が債務不履行として損害賠償責任を問われることもあります。

そこまで大ごとにする必要はありませんが、周りの音が気になって仕事の効率が落ちる!というのであれば、まずは自分でできる対策として、イヤホンをつける、会議室やミーティングスペースに避難する等でしょうか。もし、その迷惑行為があなた1人だけでなく、周囲にも影響を及ぼすレベルであれば、会社に相談して席替えをお願いしたり、上司からさりげなく注意してもらうことも選択肢のひとつです」

「職場環境配慮義務」、そっと心の片隅に置いておくとよいのかもしれませんね。

【図説】職場のハラスメント一覧

では、最後に、回答をくれた人にとっては大問題ではありますが、どことなく哀愁とおかしみのある回答をどうぞ。

「毎日夕方5時頃になると小腹が空いてくるのかせんべいを食べ始める上司。バリバリと音がすごく耳について気になり始め、耐えられなくなったので硬いせんべいのかわりに濡れせんを購入し上司にプレゼント。気に入ってくれたのか濡れせんとせんべいを交互に食べるので音が軽減された(40代・女性)」

<調査概要>
職場で体験したハラスメントに関するアンケート
調査期間:2025年2月25日~3月27日
調査対象:全国10~70代の男女150人

小西道代(こにし みちよ)プロフィール
行政書士法人グローアップ代表。社会保険労務士法人トップアンドコア役員。大学卒業後、日本マクドナルドに入社。幅広い年齢層と共に働くことで、法律や制度だけではない労務管理・組織運営に興味を持ち、弁護士事務所等で経験を積む。自身も喫茶店を経営した経験から、労務トラブル予防の労務相談を得意とする。All About「労務管理」ガイド。
 
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