特に独身の方にとっては、老後の生活設計を1人で考える必要があり、「何歳まで想定すればいいのだろう」と不安を抱く方も多いかもしれません。
今回は最新の平均寿命データをもとに、独身の老後資金計画に必要な考え方や、「長生きリスク」に備えるヒントについて解説します。
自分らしく、安心して暮らし続けるための第一歩を一緒に考えていきましょう。
最新の平均寿命はどれくらい?
厚生労働省の「簡易生命表(令和5年)」によると、日本人の平均寿命は、男性で81.09歳、女性で87.14歳となっています。とはいえ、これはあくまで「平均」です。半数の人はもっと長く生きる可能性もあり、90歳、あるいはそれ以上を見据えた生活設計が求められます。
独身の方にとっては、自分自身で生活を支える必要があるため、「少なくとも90歳まで」は資金計画を立てておくと安心です。長く生きることを前提にした備えが、心にゆとりをもたらしてくれるでしょう。
「長生きリスク」に備えるには?公的年金を土台にした生活設計を
老後の最大のリスクの1つは「長生きリスク」です。これは、想定よりも寿命が延びることで、老後資金が足りなくなるリスクを指します。独身の方は特に、医療費や介護費用を自分1人で賄わなければならず、また、生活費を誰かと分担できないため、1人で固定費を抱え続ける必要があります。さらに、孤独感による心身の不調リスクも意識しておきたいところです。
この「長生きリスク」に対応するために、頼りになるのが公的年金です。年金は終身受給できる唯一の収入源であり、老後の生活の「土台」となります。
とはいえ、年金だけで豊かな生活を送るのは難しい場合もあるでしょう。だからこそ、年金をベースに、自分に合ったプラスアルファの対策を考えることが重要です。
独身の老後生活、備えのポイントは?
独身で迎える老後は、自分1人で生活を支えるため、資金管理がより重要になります。老後資金の備えには、次のポイントを意識しておきましょう。●生活費をコンパクトにまとめる
年金をベースに、住居費や生活費を見直し、支出をできるだけスリムにしておくことが大切です。固定費(家賃・通信費など)の見直しは効果的です。
●医療費・介護費に備える
高齢になると医療費・介護費の負担は無視できません。高額療養費制度など公的支援制度を知っておきつつ、無理のない範囲で民間の保険会社の医療保険・介護保険などを検討するのもよいでしょう。
●健康管理と人とのつながりを意識する
独身の場合、近しい人との交流が減り、孤独感が心身に悪影響を及ぼす可能性があります。資金面だけでなく、定期的な健康チェックを行ったり、趣味や地域活動を通じて人とのつながりを持ったりすることも、安心した老後生活に欠かせない要素です。
●働く選択肢も持っておく
70代以降も「短時間・軽作業」の仕事を無理なく続けることで、収入が得られるだけでなく、人との交流や生きがいにもつながります。
●「何にお金を使いたいか」を明確にする
旅行、趣味、学び直し。老後の楽しみ方を明確にイメージしておくと、不要な支出を減らし、本当に必要なことにお金を使えるようになります。