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泣いている子を助けるな!は常識?非常識?(2ページ目)

道端で泣いていた女の子を助けてあげた!つもりだった男性が逮捕されてしまう事件が埼玉県で起きました。善意と助け合い、そして子どもを守ることをどう考えていけばいいのかを問いかけている事件です。

筑波 君枝

執筆者:筑波 君枝

ボランティアガイド

困ったときは助け合う?見て見ぬふり?

誘拐
知らない人には近寄らない。声をかけられたら逃げろ!それだけを教えることが本当に子どものためになるの?
こういうニュースが起きると、子どもに「我が身を守る」ことと、「困っているときは助け合う」ことの大切さとをどう教えていけばいいのか、とても考えさせられます。

今回は車に乗せて遠くまで行ってしまったことで大問題になりましたが、たとえば男性が自宅まで徒歩で送り届けたらどうだったでしょうか。さすがに逮捕はされないでしょうが、若い男性が、べそをかいている女の子を連れて歩いている姿に違和感を覚える人は少なくないでしょう。気を回しすぎて警察に連絡しちゃう人だっているかもしれません。

ストレスが社会にまん延しているといわれる時代です。秋葉原の事件に代表されるように若い男性が起こす凶悪な犯罪が大きく報道されています。児童ポルノや子どもを性の対象にするような情報も氾濫しています。子ども、特に女の子が、見知らぬ大人の男性と親の知らない場所で接点を持つことに抵抗を覚える人は少なくないでしょう。

けれども、そのことばかりに目を奪われると、「道端で見知らぬ子どもが泣いていても、知らないふり」「何があっても関わらないのがベスト」がいまどきの常識、正しい姿勢ってことになっちゃいますよね。そして、そのことが、日常のすべての場面での無関心につながってはいるような気がします。

それでも「困ったときには助けあおう」と教えたい

「知らないふり」「見て見ぬふり」は、無関心であること。誰かがどんなに困っていようとも「見なかったこと」にする。そんな風潮が日本全体を覆っています。電車の中で痴漢を目撃しようと、階段を上るのがしんどそうなお年寄りがいても、車いすで移動する人の前に放置自転車がたちはだかっていても……。

だって、面倒なことに巻き込まれたくないから……。なのに、1度、事故が起きると「誰か助けてやらなかったの?」と無関心な社会であることを嘆く声が聞こえてきます。

原因は、多くの人が他人に無関心になったからではないのかもしれません。むしろ、「無関心でいたほうが安全だから」と思うような風潮を、私たち1人1人が作り出しているのではないでしょうか。そうは思いませんか?

ありきたりの言い方ですが、他人=危険なはずはありません。子どもに「近づく人は、皆、危険と思え」とは教えたくないですよね。もちろん、ガイドも子どもの安全には敏感です。

「公園で1人で遊ぶのは止めて」とか「知らない人についていってはいけない」と言っています。

同時に「1人でいるときに何か問題が起きたら、周囲の大人に『助けてください』と言いなさい」とも教えます。子ども1人でできることなんて限られています。いざというときに頼りになるのは身近な知らない大人なんですから。言いながら、「矛盾しているかも」と思いつつ、ですが。

身近な他人をもっと信用しようよ

どんな人でも、安心できる街に住みたいと思いますよね。でも、隣の人には声をかけにくい。そんな風に考えていませんか?

マスコミから流れてくるニュースには震かんさせられるのは事実です。だからといってどんどん守りを固めても解決にはなりません、それどころか、社会不安が高まる一方です。

むしろ、私たち1人1人が、もう少し、守りをゆるめて身近な他人を信用する。そして問題があったらいつでも「私が手を差しのべるよ」そんな気持ちを持っていたほうが、社会全体にやさしい風が吹く。そんなことを今回の“事件”で私は改めて思いました。あなたはどう思いますか?

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