食べて守ろう!日本の食
練馬で作られている地産地消のレトルトカレーと、ポタージュ。その地域独自の味を作り出す試みも盛んです。 |
現在の日本の自給率はカロリーベースで39%。1960年の自給率が79%、1965年が75%ですから、その頃の半分に落ち込んでいるということになりますね。これをどこまで上げられるかが勝負です。
現実的な自給率の目標は50%くらい?
農林省では2015年までに50%に上げることを目標としています。ガイドも手の届く範囲での目標は、50%くらいかなと思います。国の政策として、農業を守っていく方針が示されれば、達成不可能な数字ではないでしょう。2015年までというのは厳しいから、もうちょっと長期的な視野でなら、ですが。農の現場でも危機感を感じて新しい試みが始まっています。かつて、ガイド記事「農的暮らしのすすめ」でも書きましたが、日本の農業は後継者不足などの深刻な問題を抱える一方で、現場はなかなか元気なのです。地域の農家がネットワークを組んで、伝統野菜作りに取り組んだり、地元ならではの加工品に挑戦したりといった新しい試みは各地で見られます。アグリビジネスに注目している企業も少なくありません。
農をテーマにしたNGOやNPOの活動も活発です。農作業ボランティアに参加するのも、農業に関係ない仕事をしている人が中心です。半農半X(はんのうはんエックス)に注目が集まっているのも、農を大事に思う人が増えていることの表れでしょう。土に触る機会がなくても、ベランダ菜園などのささやかな行動でも、自分で食を作りだすことを始めてみると、食への思いも変わってくるのではないでしょうか。
海外と対等なパートナーシップを作る
未来の農場として東京・大手町のビルにパソナが展開する地下農園。太陽光線に近い人工光線で稲を栽培しています。成長が早く、1年に3回収穫可能です。 |
無理ですよね。
だったら、海外に頼るしかありません。ただ、これまでのように世界中に「安いもの」を求めていくという方式では、同じことの繰り返しになってしまいます。食は生きる根幹を支える産業ですから、安定した供給が出来るような基盤作りから始める必要があると思います。日本の農業技術を伝え、現地の人たちと対等なパートナーシップを築いて、安全な食品を計画的に生産し、安定した輸入ができるような体制を作ることが大切だといえます。
私たちも「輸入食材はコワイ」と敬遠するのではなく、どんな風に作られたものかに目を向け、賢く選んでいくこだわり消費者になりたいものです。
食料危機はじわじわとではなく、突然やってくるといわれます。でもその予兆はきっとあるはず。食への不安がかつてないほど高まっている今が、その予兆かもしれません。でもピンチはチャンス! この不安を乗り切るためにどうすればいいか、消費者である私たちもしっかり考えていく必要がありそうです。
この記事は、執筆にあたり野菜茶業研究所 篠原信氏の環境メールニュースを参照させていただきました。
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