ボランティア/ボランティア関連情報

世界的な食料難で生き残れる日本人は何人?(6ページ目)

自給率39%の日本。世界的な食料危機が来たら、どのくらいの食料を確保できる?いったい何人の日本人が生き残れるのでしょう?自給率100%なら問題解決?う?ん…。1億人の胃袋を満たす最善策を考えてみましょう。

筑波 君枝

執筆者:筑波 君枝

ボランティアガイド

食べて守ろう!日本の食

練馬カレーとシチュー
練馬で作られている地産地消のレトルトカレーと、ポタージュ。その地域独自の味を作り出す試みも盛んです。
では、どうしたらいいのでしょうか。まずは消費者である私たちが、食べ残しや食品の廃棄をしないことを心がけることが、第一です。そして、国内産のものを積極的に選ぶなど、買う、食べるという行動を通して、できるだけ国内の食の現場を応援することですよね。

現在の日本の自給率はカロリーベースで39%。1960年の自給率が79%、1965年が75%ですから、その頃の半分に落ち込んでいるということになりますね。これをどこまで上げられるかが勝負です。

現実的な自給率の目標は50%くらい?

農林省では2015年までに50%に上げることを目標としています。ガイドも手の届く範囲での目標は、50%くらいかなと思います。国の政策として、農業を守っていく方針が示されれば、達成不可能な数字ではないでしょう。2015年までというのは厳しいから、もうちょっと長期的な視野でなら、ですが。

農の現場でも危機感を感じて新しい試みが始まっています。かつて、ガイド記事「農的暮らしのすすめ」でも書きましたが、日本の農業は後継者不足などの深刻な問題を抱える一方で、現場はなかなか元気なのです。地域の農家がネットワークを組んで、伝統野菜作りに取り組んだり、地元ならではの加工品に挑戦したりといった新しい試みは各地で見られます。アグリビジネスに注目している企業も少なくありません。

農をテーマにしたNGOやNPOの活動も活発です。農作業ボランティアに参加するのも、農業に関係ない仕事をしている人が中心です。半農半X(はんのうはんエックス)に注目が集まっているのも、農を大事に思う人が増えていることの表れでしょう。土に触る機会がなくても、ベランダ菜園などのささやかな行動でも、自分で食を作りだすことを始めてみると、食への思いも変わってくるのではないでしょうか。

海外と対等なパートナーシップを作る

パソナ
未来の農場として東京・大手町のビルにパソナが展開する地下農園。太陽光線に近い人工光線で稲を栽培しています。成長が早く、1年に3回収穫可能です。
さて、では残りの50%はどうすればいいでしょうか。食べないで我慢しましょうか?

無理ですよね。

だったら、海外に頼るしかありません。ただ、これまでのように世界中に「安いもの」を求めていくという方式では、同じことの繰り返しになってしまいます。食は生きる根幹を支える産業ですから、安定した供給が出来るような基盤作りから始める必要があると思います。日本の農業技術を伝え、現地の人たちと対等なパートナーシップを築いて、安全な食品を計画的に生産し、安定した輸入ができるような体制を作ることが大切だといえます。

私たちも「輸入食材はコワイ」と敬遠するのではなく、どんな風に作られたものかに目を向け、賢く選んでいくこだわり消費者になりたいものです。

食料危機はじわじわとではなく、突然やってくるといわれます。でもその予兆はきっとあるはず。食への不安がかつてないほど高まっている今が、その予兆かもしれません。でもピンチはチャンス! この不安を乗り切るためにどうすればいいか、消費者である私たちもしっかり考えていく必要がありそうです。


この記事は、執筆にあたり野菜茶業研究所 篠原信氏の環境メールニュースを参照させていただきました。

【おすすめ書籍】
図解入門業界研究 最新 農業の動向とカラクリがよーくわかる本 ……ガイドの書いた農業の本です。日本の農業の仕組みをわかりやすく解説しています。
【関連記事】
「20XX年、日本人の食は1日2食になる?」
「農的暮らしのすすめ」
「バイオエタノールがアマゾンを焼きつくす!?」
「いま、静かなブーム!ハチドリのひとしずく」
「かなりヤバイ温暖化?地球を冷やす5つの習慣」


【ガイドから】
・ボランティアガイドのメルマガのご登録はお済みですか?こちらからご登録してくださいね(※停止中)。
・前回記事は「母の日の笑顔をスリランカのママにも贈ろう」です!
  • 前のページへ
  • 1
  • 4
  • 5
  • 6
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます