ボランティア/ボランティア関連情報

スモールビジネスで“社会貢献”しよう!(2ページ目)

社会起業家を志す若者が増えています。でも、実は豊かな社会経験を持つシニア世代こそ、地域に密着した社会貢献型のスモールビジネスが向いているのではないでしょうか?そのヒントを考えてみましょう。

筑波 君枝

執筆者:筑波 君枝

ボランティアガイド

地域の資源を活用する

銀座のハチミツ
「銀座産ハチミツは、銀座に来ないと食べられない」ことを全面に出して話題を呼んでいる銀座ミツバチプロジェクト。
社会起業家の舞台として注目されている場所、そこは“地域”です。少子化、高齢化、防犯、都市の空洞化、地方の過疎化など、地方には地方の、都市には都市の様々な問題を抱えています。その解決のために何ができるか、シニア世代の社会貢献のヒントはきっとそこにあります。

その際に注目したいのが「地域の資源」です。有効に活用できる“資源”を掘り起こし、それが課題解決のきっかけとなるかを探ってみてはいかがでしょうか。資源とは、その地域ならではの人、産業、そして自然環境などです。

たとえば、ガイド記事で紹介した銀座のミツバチ。こちらはボランティアが基本のNPOですので「起業」という事例ではないのですが、その活動内容には「地域の資源」の生かし方のヒントがたくさん詰まっています。

「大都会、銀座」という立地条件は「日本を代表する商業地」である反面、常に住む人の「銀座離れ」が心配されています。

それを食い止め、銀座の活性化を目指して立ち上がったのが、ミツバチプロジェクト。銀座というイメージの対極にあるミツバチと、人工的ではあるものの豊かな緑という資源を活用して生産されたハチミツを、地域限定で使う「地産地消」にこだわったところに意外性があり、注目を集め、多くの企業を巻き込んでのプロジェクトになりました。継続的に活動していくことで、春から初夏にかけての銀座の風物詩になることも期待されています。

そういった資源は、どこの地域もあるのではないでしょうか。それを掘り起こし、有効に活用することで、課題解決に結びつけることができるとガイドは思います。

キーワードは、「私にできること」

もう1つ誰にでも「わかりやすい」課題をテーマにして事業を起こし、共感を集めることも大切です。

シニア世代が青春を謳歌していた1970年代頃は、ボランティアや福祉、市民活動といった言葉のイメージするものといえば、「草の根」の「市民運動」で、その目的は「社会の変革」でした。

でも、最近のボランティア事情は、少し変わってきています。

もちろん、基本は「社会や地域を変える」市民の活動です。でも、最初に大きな目標を掲げるよりも「人が人らしく生きるために」、「次世代に受けつぐ持続可能な社会」といった言葉に共感が集まり、まずは「私にできる小さなこと」を大切にする傾向が高くなっています。

それは、やはり不安な社会状況が時代の背景にあるからでしょう。温暖化に代表される地球規模での環境問題が深刻だといわれます。国内でも国民総中流意識が崩れ、社会に格差が生じ、社会保険庁の不祥事のような行政の怠慢、コムスン問題に代表される規制緩和の弊害なども次々に発覚し、かつてない社会不安を多くの人が感じています。こういった大きな問題にどう対応していいかわからないからこそ、まずは自分の足もとから変えていきたいと思う人が増えているのです。

社会起業家が注目される理由も同じだと思います。自らの手で何かしなければという思いと、個の幸せを追求したいという欲求の両方を満たす仕事としての「人や社会や環境にやさしいスモールビジネス」が注目されているのです。

だから、その成功のヒントもたくさんの人が共感できる「ささやかだけれど、大切なこと」を提示しながら、その輪を広げていく点にあるはずです。

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