2月17日にフィリピン中部のレイテ島南部で起きた大規模な地滑り。わずか数秒でのどかな農村が飲み込まれていったすさまじい勢いの地滑りでした。地元の人がその瞬間を「地球が揺れた!」と表現しているほどです。

いまだに1000人前後が土砂の下敷きに……

レイテ島(Leyte)はフィリピン中部に位置している。レイテ島沖は、太平洋戦争での激戦地ともなった。
被災地では、地滑りの発生から5日経った2月21日の朝までに、84遺体が収容されました。しかし、いまだに1000人前後の人たちが土砂の下に埋まっているとみられています。南レイテ州のレリアス知事からは「(同州)ギンサウゴン地区が約1平方kmにわたり埋まった。住民、1400人~2000人が下敷きになったとみられる」と発表されたり、一部報道では3000人を超える行方不明者がいるとされたり、被害の全体像はつかみきれていません。

中でも痛ましいのは小学校が丸々土砂に埋まってしまい、児童246人の生存がいまだに確認されていないことです。現地では「土砂の下敷きになった教諭の携帯電話から、『早く助けてくれ』と連絡があった」とか、「児童50名の生存が確認された」など噂も駆けめぐっているとのことで、混乱した状況が伝わってきます。

21日朝には、フィリピン軍と米軍の計300人に、台湾、マレーシアなどの国際救助チームを合わせた計約2000人が現場で救出活動を行いました。しかし、高さ30m以上の高さまで、土、砂、泥そして岩に埋まってしまった被災地は、地盤が緩くなっています。重機での作業が困難であるため、掘削作業は進んでいません。生存者の救出は当日をのぞいてゼロのままです。

原因は、森林伐採? 自然災害?

今回の地滑りの直接的な原因は、現地で2週間にも渡り豪雨が続き、地盤が緩んでいたことでした。また、直前に地震があったという情報もあり、州政府は自然災害であるとの見解を示しています。

しかし、過剰な森林伐採が続けられていたことが、その背景にあることも指摘されています。1960年代以降、フィリピンをはじめ、東南アジア各国では無計画な森林伐採が繰り返されてきました。主な輸出先は日本、そして最近では中国です。

中国は自国の森林伐採がいきすぎたことで、洪水などの被害が相次いでいます。そのため、東南アジアやロシアから木材を輸入し、米国に続き、世界第2位の木材輸入国となっているのです。

森林保護を訴える声が高まると共に、フィリピン政府は80年代以降、森林伐採を厳しく取り締まってきました。しかし、海外からのニーズがあることで、違法伐採が繰り返されてきたというのです。政治家や密輸業者と手を組んでいることもささやかれています。中でも、被災地のギンサウゴン村は「違法業者が暗躍する村」として知られていたともいわれます。

そういった無理な森林伐採によって、フィリピンでは過去30年で53%もの森林が失われたといわれるほどです。その結果、大雨による土砂災害がたびたび発生しており、レイテ島では1991年にも大きな土砂災害があって多数の被害が出ています。今回の災害も州政府が自然災害を強調するにも関わらず、山林の過剰伐採・違法伐採が原因として指摘されるのはそのためです。

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