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スマトラ沖地震と津波…被災地の“今”(2ページ目)

未曾有の大災害となったスマトラ沖地震と津波。いち早く現地にかけつけたNGOはどんな活動をしたのでしょうか。そして私たちにどんな支援ができるのでしょうか。(写真・被災直後のタイ南部の様子。提供・シェア)

筑波 君枝

執筆者:筑波 君枝

ボランティアガイド

タイ 
南部で支援の遅れる少数民族、移住労働者を支援

移動図書館でタイ南部各地を回るSVAの現地スタッフ。©SVA
タイでは、被害の大きかった南部を中心に、複数のNGOが活動しています。そのひとつが(社)シャンティ国際ボランティア会(以下、SVA)です。

被災直後は、飲料水、食料などの緊急救援物資の配布や避難所への大型テント、給水タンク、浄水器設置の活動を実施。さらに、約1,500人の被災地域の児童に対して制服・学用品などを配布しました。

1月中旬からは子どもたちを精神的に支え、希望を持って生活が再建できるように、絵本・本の設置、読み聞かせ、人形劇、音楽活動などの移動図書館活動を実施しています。子どもたちに笑顔が戻り、元気になると、まわりの大人も生き生きとしてくるのだそうです。

現在、パンガー県を中心に約30ヶ所の避難所、学校にて継続的に行なわれています。今後はさらに図書館を建設したり、移動図書館車を使ったりしてこの活動の充実を図り、今年末までは継続される予定です。

この地域には、北部からの労働者も多く、今回の地震・津波の被害を受けています。また、タイ人だけでなく、ミャンマー人労働者や少数民族も多く、国籍、言語や習慣の違うことから、政府援助が遅れていたり、受けられなかったりする部分を、NGOが補う状態が続いています。

求められる各NGOの連携

プーケット島の建設現場職員用のそまつな住居。パンガー県で被災した移住労働者が職を求め、たどり着いた。復興の建設ラッシュの一方での過酷な現実だ。©シェア
現役の医療関係者が主体となっているシェア=国際保健協力市民の会(以下、シェア)の支援活動も南部で働くミャンマー人労働者が対象です。地震前、ミャンマー人労働者は主にリゾート施設の建設工事や漁村地域で働き、約13万人がタイに在住していました。

このうち2500人から3000人が死亡、行方不明者数は5000人から7000人ともいわれますが、公的な援助対象から外されているため、正確な数字はわかっていません。津波によって約6万人がIDカードを紛失したことから、非正規滞在を疑われ、逮捕や強制送還されたというケースが津波発生後の1週間で2000件を越えてしまったそうです。

シェアでは、地震直後から、現地の4つのNGOが結成したネットワーク団体TAG(Tsunami Action Group)と共に、IDカードを紛失してしまった在タイミャンマー人を対象に、医療へのアクセス支援を行うなどの活動を続けています。

タイでもまだまだ支援の手は充分とはいえずに、時間の経過と共に、被災者へ生活や就労、遺児の教育や精神的支援などの問題が表出し、課題は山積みです。これらの課題に対して各NGOが連携を取って、今後の支援を模索しています。

次ページは、スリランカからの報告です
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