小学校のお受験面接……質問・解答例
保護者の子ども時代を通じて家庭環境を探ることがある
自分の過去についての質問
保護者に対する面接で、保護者自身の子どもの頃や学生時代について質問されることがあります。保護者がいったいどのように育ってきたのか、それが子育てにどう表れているのかを知ろうとしているのだと思います。例えば次のような質問です。■あなたはどのようなお子さまでしたか?
自分を飾ることなく素直に答えて構いません。しかし、謙遜が過ぎて自分の短所を並べることがないように気をつけてください。
<回答例>
「静かに本を読むのが好きで、知的好奇心が旺盛な子どもでした」
「活発で野原を元気に駆け回っていました。だから体力もあり丈夫な子どもでした」
■学生時代に情熱を燃やしたことはありますか? それはどんなことですか?
高校生、大学生の頃に熱中したことは、その後の人生にも影響を与えます。そうした点を尋ねているわけです。自由に使える時間がたくさんある時期に、のんべんだらりと過ごしていたと思われないようにしましょう。
<回答例>
「サッカーのクラブに入り、学業の時間以外はほとんどボールを追いかけておりました」
「授業が終わるとすぐに帰宅し、学業に専念していました」
家庭環境を知るための質問
教育方針やしつけについて直接的に質問すれば、回答者も準備をしてきているのでぼろは出ません。そこで間接的に家庭の様子がうかがえる質問をするのです。■ご両親をどのようにお呼びになっていらっしゃいますか?
とっさに聞かれたらいつもどおりにお答えになるでしょう。しかしちょっと待ってください。もし自分の子どもに自身を「お父さま」「お母さま」と呼ばせていたら注意が必要です。呼び方のギャップが大きければ、その点についてさらに尋ねられるかも知れません。妙に取り繕うのも不自然ですが、お子さんを無理して上品に育てようとしていると思われないように。
<回答例>
「お父さん、お母さんと呼んでいます」
「お父さま、お母さまと呼んでおります」
■お父上から教えて頂いたことで、将来も守り続けたいことがらがあれば教えて下さい
名家であれば家訓があるでしょう。そうでなくても「困ったときは助け合う」「一度手をつけたことは最後までやりぬく」など、折に触れ父親が語ってくれた言葉があるはず。それを答えれば良いのです。
ただし、注意していただきたい点が二つあります。ひとつは家庭の教育方針と矛盾しないことです。ここが一致していないということは、教育方針に書いたことは入試向けに作ったのではという疑いが出てきます。もうひとつは、学校の教育理念および指導方針とも矛盾しないことです。
<回答例>
「決して人に迷惑をかけてはいけないと教わりました」
「決断をするまでには慎重に考え、決心したら全力で物事にあたるようにと常々言われております」
■ご自分のお母様(お父様)と奥様(ご主人様)を比べられてどうお感じになりますか?
なかなか答えにくい質問です。どちらが優れているとかいないとかではないのです。親は親で配偶者は配偶者。違っている点もあるけれど、似ている点もあることを認識し、どちらも尊重する態度を示すのが良いでしょう。
<回答例>
「父は公衆道徳には厳しい人でした。また昔の人でしたので、子どもの私の相手をして遊んでくれるということはあまりありませんでした。主人も他人に迷惑をかけるなと常々子どもに申しており、その点が父と似ています。息子とは休日に公園でキャッチボールをするなど、よく遊び相手をしていますので、好ましく感じております」
■奥様の手料理の中で好きなものはなんですか?
家庭の日常を様々な質問で探ってくる
<回答例>
「妻は料理が得意なので好きな手料理はたくさんありますが、娘と私が大好きなのは○○です」
保護者の社会への関心や教養を知るための質問
保護者面接前に本を読んでおこう
本を読まないようでは教養を疑われます。特に父親は仕事が忙しく読書する暇なんかないという人も多いのではないでしょうか。読書を通して自分を高めたり、感動したりする人は、子どもの内面の成長にも気を配ることができます。
面接では耳にしたことがあるけれど、読んでもいない本のタイトルを言わないようにしましょう。少なくともこの時期に話題の本を1冊くらい読むようにしたいもの。本の内容やテーマが学校の教育方針にさりげなくつながる本を挙げられたらベストです。
■今の教育についてどのように思われますか?
■少年犯罪が増加しているようですがどう思われますか?
■近年の政治に関してどのようにお考えですか?
■食品の安全性が問題になっていますが、ご家庭で気をつけていることはありますか?
こうした社会で話題になっている事柄や事件についての質問がなされることがあります。中でも子どもや教育に関する事柄が多く取り上げられます。新聞やテレビのニュースを見聞きしたときに、家庭の中でそのことについて話し合うように心がけましょう。ニュースは背景の解説が掲載されている新聞をよく読むことが大切です。
また、回答する場合に一般論で答えてしまいがちですが、学校の方針や家庭の方針と合致した答えを、ご自分の子育ての視点から答えられると素晴らしいですね。場合によっては子どもの今の年齢だけでなく、将来を見据えて考えていることを示せるとなお良いでしょう。
<回答例>
「最近の傾向として法律に触れなければ何をしても良いという風潮があります。大人がこれでは、子どもたちも自分の責任や他者への思いやりを持てないと思います。私どもは太郎が独りよがりな子どもにならないよう気をつけております」
学校を理解しているかを知るための質問
「本学を志望された理由をお聞かせください」こう質問されたら誰でも志望理由を聞かれていると分かります。けれどもストレートに志望理由を尋ねるとは限りません。様々に形を変えて志望理由を聞かれるのです。■なぜ公立ではなく私立の学校を選んだのですか?
このように聞かれるとつい一般論で答えたくなります。この質問で「私立の学校」と言っているのは、面接を受けている学校のことなのです。ですから理由の中で「私学の良い点=本学の良い点」として答えるべきです。
<回答例>
「美味しいものや楽しいものがすぐ手に届くところにある世の中で欲求を抑え、美しさや優しさに感動する心を伸ばしたいと望んでおります。そうした心の教育に力を注いでいる私立学校を志望致しました」
■この学校(幼稚園)に望みたいことは何ですか?
素直にご自分の要望を答えてはいけません。これは保護者の要望を聞いているのではなく、学校(園)の方針を理解しているかを確かめる質問と思ってください。教育理念や方針と異なる要望を口にするようでは、受験する資格はないということです。
<回答例>
「特にお願いすることはございません」
子どもだけでなく親も勉強を
お受験は親も勉強して臨むべし
様々な質問に答えられるようにするためには、普段から色々なことに関心を持ち、考え、自分の言葉で語る必要があります。ミス・ユニバースのインタビュー練習に、1つの質問に15秒で答えるというのがありました。自分の意思や考えを人に的確に伝えるには、短すぎても長すぎてもいけないということ。短すぎるとあまり考えていないように思われるし、長すぎると話の焦点がぼけてしまうからです。これを機会にこの練習をしておけば、受験が終わった後もきっと役に立つことでしょう。