▲新潮選書【秘伝 中学入試国語読解法】石原千秋著

「秘伝中学入試国語読解法」(新潮選書 石原千秋著)という本をご存知ですか。中学受験を考えている方にはこの本は「買い」です。2部構成で第1章は著者が経験した家族の中学受験体験記です。大学研究者の立場から書かれているというより、受験生の父親としての関わりから、お子さんのスランプ克服や志望校選定、塾とのつき合い方など大変参考になります。私の娘が受験の時にこの本が出ていればと思いました。

さらに第2章は具体的に中学受験国語(高校入試にも当てはまりそう)の解き方が書かれています。第2章のオープニングに「物語はひとつの文である。」とあり、その意味は「~が~する物語」「~が~となった物語」のように1つの文に要約できるという説明が載っており、この出だしを読んだだけで「おお」とうなってしまいました。

そして学校教育の「国語」という科目は他の科目のように分野別でなく何故ジャンル別なのかを解説しています。それはテーマはほとんど1つだからで、しかもそれは明言されず生徒は正解に至るルールを説明されずにゲームに参加しているようなものだと言っています。

要するに国語とは道徳教育で望ましい価値観に合致する解答を書かなければ○はもらえないということです。

中学入試ではほとんどが「成長」がテーマになっており「誰それが~によって成長する物語」が出題されています。学校側は受験生がいかに大人の目をもっているかを問うているのだとも言えます。その際大人びた生徒を欲する学校と、少年・少女らしさを残している子供を欲する学校があるようです。

また国語の一般的な読解で用いられる手法と異なり、文章の構造を明らかにして主題を読み取るテクニックを紹介しています。日本人の文学に関する捕らえ方からは異質に見えますが、欧米では一般的に用いられる手法です。構造を分析するのですから情緒的アプローチよりも当たりはずれが少なく、誰にでも身に着けられる方法です。特に国語が苦手な人に有効と言えるかもしれません。

この本はそうした一般論だけに留まらず、具体的な問題の解き方や記述の仕方も解説し、第2部は参考書のように利用できます。是非ご一読される事をお勧めします。

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