影のように後から付いて繰り返す「シャドーイング」
通訳の英語力の秘密は? |
シャドーイングでは、聞いた英語になるべくそっくりになるように自分の発音やイントネーションを調整します。「聞きながら発音しながら」というめまぐるい訓練が、同時通訳の基本を作る訳ですね。
最近、シャドーイングは英語学習法として知られるようになってきましたが、もともとは、同時通訳になるために行われる最初の訓練のひとつです。同時通訳の訓練と聞くと、「まさか自分には関係ない」と思いがちですが、実は、英語初心者の方にとっても有効なんです!
シャドーイングの利点
聞こえて来る英語音声を出来るだけ正確に再現することが求められる訓練ーシャドーイングーの利点を整理してみましょう。- リズムやイントネーションがきれいになる
- 英語のスピードに慣れることができる
- 意味の区切りでのポーズの置き方がわかる
シャドーイングの実践
私自身、同時通訳のクラスを大学院で受講したことがあるのですが、最初はとてもむずかしく感じました。「聞きながら同じように口に出す」という経験はなかなかないですよね?ですから、最初はごく簡単な短文からはじめることをお勧めします。まずは、英文を見ながらモデルとなる英文を1、2単語分聞きます。それを追いかけるように口に出しながら、耳は次の英単語を聞きます。
例えば、図にあらわすと次のようになります。
I am happy to study English. (モデル音声)
I am happy to study English. (自分の声)
“I am”と聞いたら、そこから追いかけて“I am”と口にします。それと同時に残りの英文を聞きながら追いかけて発音します。少し慣れて来たら、英文を見ずに、耳だけで追いかけて言ってみましょう。耳だけでシャドーイングをすると、意外と目で英文を追っていたことに気が付くと思います。
だんだん英文を長くして、同じ練習をしてみてください。はじめは英文有りで。慣れたら英文を見ないで耳だけでシャドーイングです。言いにくい部分、つっかえてしまう部分は、そこだけを繰り返して練習します。とにかく英語を口から出す。この作業をしましょう。
モデルの音声さえあれば、どこででも練習
細切れ時間を利用してコツコツ練習 |
私が主宰するMizuno Method English Language Schoolの生徒さんは、出張時の新幹線の中で発音練習をしていたら、うっかり息がもれたり声がもれたりして、恥ずかしい思いをしたことがあると仰っていました。私自身も、もちろんそんな経験が何度もあります。この際、恥をしのんでシャドーイングに思いっきりはまってみましょう!
まとめ
シャドーイングの練習をしていると、自分の英語力が客観視出来るというおまけがついてきます。英文を見ないで英語を同時に口にすることが出来るのは、ほんとうに理解出来ている英文に限られることがすぐにおわかりになると思います。例えば、自分が知っているセンテンスはすんなりと言うことが出来ますが、初めて遭遇した単語や英文ではなかなかそうはいきません。つまり、語彙や発音、文法の弱点などが明らかになるのです。でも、裏を返せば、シャドーイングの練習からわかった弱点を補強して、語彙力を伸ばし、発音を鍛え、文法の体系を勉強し直すことも可能です。
きょうから早速、シャドーイングの世界で、さらなる学びを体験してください!