なぜ「母の日」にカーネーションを贈るの?
「母の日」の贈り物といえば“カーネーション”
定番のギフトといえば、カーネーションですが、そもそもなぜ母の日に贈るのか、その本当の由来をご存じでしょうか。実は、“アメリカのある母娘”のエピソードが関係しています。
アメリカの「母の日」が起源
アンナ・ジャービスが、亡き母に捧げた白いカーネーションに由来
1905年5月9日(日)に亡くなった社会運動家のアン・ジャービスは、女性が社会的弱者だった当時、「Mothers' Day Work Club」を結成して、病気予防のための保健衛生の発展に貢献したり、南北戦争時に中立な立場で兵士を看病し、互いの敵意をなくす行事を行うなど、平和を願って献身的に働いていました。その娘のアンナ・ジャービスが、そんな尊敬する母を追悼するために、1907年5月12日と1908年5月10日(いずれも5月の第2日曜日)に、フィラデルフィアの教会で追悼式を行い、母の好きだった白いカーネーションを配ったことに母の日は由来します。
その後もアンナは、母に感謝する日の普及運動を続け、1914年に「母の日」はアメリカの記念日となり、「5月の第2日曜日」と定められました。
提唱者アンナ・ジャービスの「母の日」の理念
現在「母の日」は、母へ感謝をする日となっていますが、提唱者のアンナ・ジャービスは、感謝にとどまらず、平和を願う母親たちを讃えるためにスタートしました。アンナの母は、母親の立場で社会に貢献する活動をし、平和を願って献身的に働くなど、社会活動家として活躍した人。アンナは母の遺志を受け継ぎ、社会に貢献する全ての母親を讃える「母の日」を制定する活動をして実現させました。
ところが、こうした理念が消費文化の中で変化していきました。平和を祈るはずの母の日が、政治的、商業的思惑により、家族のために尽力している母にプレゼント(カーネーション)を贈る日に変化し、年々盛大になったのです。
やがてアンナは、母の日のカーネーションが大変高値で売られていると知り、「貪欲のために母の日を侮辱している」と母の日の廃止を求める運動を始めましたが、実現させることはできませんでした。
現在は、母に感謝する日としてすっかり定着していますが、それも平和だからこそです。本質を知ることで、この日の意味が一層深くなると思います。
カーネーションは“母性愛”を象徴する花
カーネーションは、聖母マリアが落とした涙から生じた花だといわれている
【関連記事】