CASECが認知される過程においては、現時点でのスタンダードといえるTOEICと相関関係が現状では必要だろう。CASECのスコアをTOEICに換算できることで、採用する企業・学校側もTOEICで蓄積されたデータと比較できるからだ。
TOEICとの相関関係についてだが、「CASECとTOEICのスコアには、相関係数で0.860の関連が認められます。両スコアを保有する受験者、約2000名のデータの分析結果です。TOEICとは目的や測定方式や取得時期の違い、スコアの申告値の信頼性なども差し引く必要がありますが、0.860の値は、高い関連性を示すと言えます」(開発担当)
TOEICとの相関関係の信頼性は理解いただけたと思うが、CASECのような後発組のテストは、先発組と比べて、メリットがなければ普及する見込みはない。その点について、以下5点のメリットをあげた。
1. 「CATの利用で、従来型テストより、少ない問題でより高精度の測定が可能。TOEICの約1/3の時間」
2. 「会場が限定されるTOEICに対し、24時間自由に受験可。正式なスコアレポートが必要な場合は、認定校会場で受験可」
3. 「TOEICの結果返却30日以内(公開テストの場合)に対し、その場で実力を把握が可能」
4. 「TOEIC公開テスト6615円に対し、CASECは3500円。半額に近い料金」
5. 「TOEICはスピードテスト的な要素が大きいと一般的に言われてますが、CASECでは一問ごとに試験時間が決まっているため、時間配分のミスによる失点なありません」(以上開発担当)
これらを利点と感じるかどうかは各ユーザーの判断になるが、差別化がしっかりしていることは、普及の要因になるはずである。
ユーザーとして気になるのが、具体的な企業の評価であろう。CASECは2001年05月21日に開始されたテストなので、採用企業数において20数年の歴史を持つTOEICと比較するのは酷だが、具体的にどのように企業が評価しているのかは、今後の動向を見る上で大切な要因となろう。
この質問に関して、「三菱商事、インテリジェンス、イーオンなどの企業が、TOEICに比べ、”低コスト”、”短時間”の点を評価されています」(開発担当)と、CATシステムの効率性とコストの良さに企業が注目している点は今後を見る上で見逃せないだろう。
テストの選択肢が増えることは、評価する側にもされる側にもメリットは大きい。TOEICにはTOEICの利点があり、CASECにはCASECの利点がある。お互いの利点を上手に活用することで、正確な英語力の把握と実力アップを狙えるのではないだろうか。
つづく
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